表情を崩さず守り抜いたマウンドで、最後は白い歯が見えた。鶴岡東(山形)のエースで4番の左腕桜井椿稀投手(3年)は2-1で迎えた9回裏、1死一、二塁のピンチを迎えた。
それでも、冷静だった。持ち味の緩急を駆使して130キロ台の直球と変化球で追い込み、最後は遊ゴロ併殺に仕留めた。無四死球での1失点完投勝利。「1人1人に投げることを意識して、楽しみました。まさかゲッツーとれるとは思ってなかったので、最高の結果ができてよかった」と笑顔で振り返った。
山形大会は本調子ではなかった。「足がつったりしてチームに迷惑をかけていた」と責任を感じた。「甲子園では迷惑をかけられない」。練習でも自分のコンディションを最優先し、寮では遅くまでバットを振り込んだ。3回2死二、三塁では、左前への決勝2点適時打。「自分の仕事が最低限できてよかった」。投打のヒーローは謙虚だった。
次戦は早実(西東京)と対戦。「自分の力を出し切って、その結果が勝ちにつながれば。それが一番応援してくれている人も楽しめるのかな」。甲子園を楽しみ、楽しませる夏にする。【浜本神威】

