<全国高校野球選手権:広陵2-1熊本工>◇12日◇2回戦
ゲームセットの瞬間を、ボールパーソンの広永は一塁側ベンチの横で見届けた。「何か特別な場所でした。自分も立っていたかったな…」。高校野球が終わった。声を震わせ、目に涙を浮かべた。
真っすぐは最速146キロを誇り、プロも注目する正真正銘のエースだった。熊本大会で背番号1を背負ったが、初戦で右の肋骨(ろっこつ)を疲労骨折。全治約3カ月~半年と診断された。「前を向くこともなかなかできなかった。それでも、仲間が励ましてくれて」。
甲子園メンバー発表の日。覚悟はしていたが、自分の名前は呼ばれなかった。その場では気丈に振る舞った。ただ、帰宅後に浜口主将に涙ながらに電話し、胸の内をすべてさらけ出した。
「お前らともう1回野球がしたかったな」「自分が投げてお前らに守ってほしかったな」
憧れの夢舞台でプレーはできなかったが、最後までチームの一員として勝利を信じ続けた。「投げられない自分を、仲間が甲子園に連れてきてくれた。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」。今後は大学に進学する予定で、将来のプロ入りを見据える。「支えてくれた人たちに恩返しができるように」。野球人生の第2章で花を咲かせる。【佐藤究】

