快進撃も、ここまでだった。春夏通じて初出場の新潟産大付が、今春近畿大会王者の京都国際に0-4で敗れた。どちらも無得点で迎えた7回に先制を許し、8回に3点を奪われた。万事休すかと思われたが、9回に満塁まで粘るなど、吉野公浩監督(57)が掲げる“根性野球”を最後の最後に示した。県勢として、14年に4強入りした日本文理以来の3回戦進出とはならなかったが、この夏に数々のドラマを生んだナインには、たくさんの拍手が送られた。
ここまで続けてきた下克上を、最後まであきらめなかった。4点ビハインドで迎えた9回表。1死から失策と安打で一、二塁。後続が中飛で2死とするも、振り逃げで満塁の大チャンスを、土壇場で作った。アルプスの応援に、スタンドは手拍子。球場全体を味方につけ、反撃に臨んだ。しかし、代打・鈴木豊大内野手(3年)はこん身のフルスイングで空振り三振。歓声がため息に変わり、新潟産大付の夏が終わった。
吉野監督が「最後は根性」と言い続けてきたことを、選手たちが体現した。8回までは京都国際の2年生左腕・西村を前に手も足も出せず、6四球を奪うも、安打は堀田温斗捕手と戸嶋翔人外野手(ともに3年)の2本のみ。130キロ中盤の真っすぐと110キロ台のスライダー、チェンジアップに苦しんだ。それでも、最後に生まれた反撃ののろし。諦めずに食らいつき、粘りを見せた。
指揮官は目を赤らめながら言った。「諦めてもおかしくない展開だった。それでもベンチは『ランナーためるぞ』とか『まだいけるぞ』っていう言葉が飛んでね。こいつらは本当にいい“根性”しているなって、本当に思いましたよ」。
吉野監督の言う“根性”とは、「1つの好きなことに命を懸けられるぐらい真っすぐに向き合え」ということ。主将の平野翔太内野手(3年)は「気持ちで負けるな、と。試合になれば技術とかよりも気持ちで負けてはいけないと言われてきた」。
新潟大会から新潟明訓や日本文理、中越、そして帝京長岡と強豪校を倒してきた。甲子園でも1回戦で17年全国Vの花咲徳栄相手に終盤で逆転勝ちした。「自分たちより格上の相手でも最後まで諦めない」「最後は気持ち」。数々のドラマティックな試合を生んできたナインの根底には、吉野イズムから刻まれた「理論だけじゃない」“根性”があった。
最後は今春近畿王者の前に屈した。それでもノーシードからここまで上り詰めたナインには、温かい拍手が送られた。県勢として、17年以来の甲子園1勝、そして令和初勝利。新潟の高校野球に新たな歴史を刻んだ。吉野監督は「こんな長い夏を57歳にして過ごさせてもらって、感謝しかない」と声を震わせた。この夏、“産大旋風”は間違いなく聖地に吹いた。【大島享也】

