大社(島根)が早実(西東京)との激闘を制し、93年ぶりの8強進出を果たした。延長タイブレーク11回までもつれたゲームで、エース馬庭優太投手(3年)が149球の熱投で2失点完投&サヨナラ打と投打でヒーローとなった。9回に内野5人シフトを敷くなどバント対策を講じた早実との球史に残る死闘で勝ちきった。また智弁学園(奈良)、京都国際、神村学園(鹿児島)が準々決勝に駒を進め、8強が出そろった。

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死力を尽くした早実・和泉実監督(62)は「こんなにいい試合。こいつらすげえなと思いました。本当にようやりました」。目には涙が光った。伝統校同士の戦いに、早実プライドをかけた。9回裏に追いつかれ、なお1死二、三塁。本来二塁手の西村を左翼手として、投手からみて右斜め前に配置。投球時に視界に入るほどだった。中堅手は左中間寄り、右翼手は右中間寄り。サヨナラを防ぐ、内野5人シフトを敷いた。

西村は冷静だった。「この打者(藤江)はレフト方向への打球が多かった。(体の)右側に意識を置いて。左側(遊撃方向)に飛んだ場合は宇野さんに任せよう」。狙い通り三塁線寄りの打球を捕り、三走を確認し一塁へ送り2アウト(記録は左ゴロ)。その間に生還を狙った三走を本塁転送で刺し3アウト。サヨナラ負けを防いだ。何度も練習したプレーだった。西東京大会直前、内野5人シフトの練習を積んだ。「三塁走者だけは絶対にかえさない。体のどこかに当ててでも止めようと思いました」。気持ちで負けなかった。

早実119年の歴史が生んだ。和泉監督は「僕らが現役で、まだ木製バットの時代にはよくあったんですよ。私の2つ上の先輩たちもあれ(内野5人シフト)をやって防いだりして」。低反発バットで細かいプレーが増えたこともあるが、大社が単打やバントの手堅い野球だからこそ、名将の長年の野球勘がさえた。

あと1歩で逃した勝利。サヨナラ打を浴び泣き崩れる川上を見つめ、西村は「誰でもミスはある。全員野球が早実野球。みんなでカバーしていこうと考えていましたから」とつぶやいた。全員で守り切る。今年の早実野球を象徴するシーンだった。【保坂淑子】

◆高校野球の主なシフト 甲子園では13年夏、済美が「カット打法」で注目された花巻東・千葉を封じるため中堅手をマウンドの三塁寄りに配置。それでも3安打を許した。63年夏の横浜は高田商戦で左翼手をベンチに下げて内野手を投入し、内野5人作戦は「カニばさみ」と呼ばれた。73年夏の柳川商は江川を擁した作新学院戦で走者三塁の3度のピンチに中堅手をマウンド付近に置き、すべて無得点に抑えた。95年夏の観音寺中央は日大藤沢戦で、中堅手を三塁前に置くスクイズ封じを試みた。

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