<全国高校野球選手権:山梨学院6-2聖光学院>◇12日◇2回戦

夏の地方大会から本紙高校野球面で掲載してきた、敗れたチームにあるドラマにスポットをあてた企画「真夏のライラック」。今回は「東北特別版」として全6回に分けて連載する。第2回は聖光学院(福島)竹内啓汰主将(3年)。

   ◇   ◇   ◇

沈黙を切り裂いたのは主将の一打だった。聖光学院(福島)は山梨学院との初戦、相手エース菰田陽生を前に6回まで無安打。0-1で迎えた7回の先頭は4番・竹内啓汰主将(3年)。「何としてでも」。この執念がバットに乗った。チーム初安打となる右前打。さらに、相手のミスや安打で同点に追いついた。

優れたキャプテンシーを持つ竹内は、1年生から学年の主将を務めていた。「チームを変えたい」。その一心で熱くなりすぎ、周りとの温度差が生じたこともあった。現状を打開するため、一時的に主将業を離れたこともあった。そして昨年8月、竹内を主将として新チームがスタート。同秋は7年ぶりの東北王者に輝き、目に見える結果が出た。順調に見えたかと思えたが、壁が立ちはだかった。

今年の春。主将に頼りすぎている空気をふと感じた。「チームを客観視したい」と斎藤智也監督(62)に相談し、主将を降りることを決意。だが、離れてみて気づいた。「未熟だったのは自分だった」。チームがうまくいかないと、人のせいにしてしまっていた。「弱さを認められない自分がいることに気づけました」。全てを出し切る覚悟で主将に戻り、夏を迎えた。最後は「やりきれた」と自信を持って言えた。

仲間への感謝であふれる高校野球生活だった。「最後の最後までついてきてくれて、自分を信じて戦ってくれて、『ありがとう』と伝えたいです」。苦悩を乗り越え、最後は戻ってきた。聖光学院にふさわしい主将だった。【木村有優】