19日に春の甲子園最多の59勝を飾った中京大中京は、1998年(平10)男女共学化後2人目となる男子マネジャー・伊藤瑛琉さん(えいる、2年)が今大会に帯同中。実は、同校へマネジャー1本で入部した。

「自分の技術のレベルはこの学校に達していない」。愛知東郷ボーイズ時代、強豪校に憧れる気持ちは選手の道を断ってサポート役に転向するほど強いものだった。中学3年夏にマネジャー志望を隠して、同校の練習体験会へ。参加後、高橋源一郎監督(46)に「マネジャー一本」での入部を直談判。一般推薦入試を経て、晴れて憧れの「CHUKYO」のジャージーに袖を通した。

普段は同校の練習場での用具管理やグラウンド整備、タオルの洗濯を担当。指導者とナインの間に立つ。「先生からきびしく言われることもありますが、自分も仲間も成長できている」。両者のクッション役を担い、充実感を覚えている。

中学までの野球経験が、男子マネジャーとしてセンバツ出場をもたらす原動力の一つになった。入学後、朝練時に不在の指導者に代わり、選手からノッカーを打診されて以後、始発電車に乗りナインと汗を流す。「入学時はバッティングしかできなかった」と自称する強打の松田知輝内野手(2年)の守備力アップに貢献。伊藤マネジャーも「自分が打っているノックで守備が本当にうまくなったのがうれしい」。松田に限らず、「一つのゴロでも試合でうまく取ってくれたら、朝のノックのおかげかなと。特に同級生の半田(直暉)や松田の成長がうれしいんです」。やりがいが尽きない青春を送っている。

「いつかは甲子園で記録員もやりたい」。初の遠征帯同がかなった今大会。15日には甲子園練習でグラウンドに下り立ち、一塁付近でボール回しを補助した。胸の高鳴りは、止まらなかった。「まだ一流のマネジャーになれていないので、今日の記録員の手島(大翔)さんのように、周りのことがよく見える方になりたい」。門戸を広げた名門校に加わった16歳は1アウトへの執念をたぎらせながら、ひたむきに仕事の腕を磨いていく。【中島麗】