<高校野球福岡大会:東筑4-3福岡工大城東>◇26日◇準決勝

 福岡大会決勝は北部の私学と公立の対決となった。15年ぶりの夏切符を狙う公立の進学校・東筑が準決勝で福岡工大城東に終盤の逆転で勝利すれば、春夏連続出場を目指す私学の九州国際大付は余裕の決勝進出。今日27日に頂点をかけて激突する。

 準々決勝で九州大会準Vの飯塚を撃破した東筑の底力は本物だった。春季県大会を制し、春夏通算6度目の甲子園出場を狙う「福岡南部の横綱」相手にも動じなかった。全校応援の期待に応えて13年ぶりの決勝に進出し、主将の江崎龍成捕手(3年)は「やばいです。今日は思い切りいっただけ、それが良かった」と興奮を隠せなかった。

 勢いのまま、執念を見せたのは1-3とリードされた8回だった。頭部への死球などで6回途中降板した福岡工大城東エース笠原に代わった片山を攻め立てた。3-3に追いついてなお1死満塁のチャンスに、スタメンを外された岡本貴紀外野手(3年)が代打起用に燃えた。「ここしかないと思い、食らいついた」と外角に逃げる難しいボールだったが、バットを投げ出すように飛びついてスクイズのサインを実行。決勝進出を決めた。

 福岡県内屈指の進学校ならではの「集中力」がここ一番で生きた。この日は、通常通り午前中のテストと課外授業を2時間こなして球場入り。学校側は負担になるからと野球部員の免除を許可していたが、同校OBでもある山部和範監督(35)は「文武両道がうちの伝統」と「東筑スタイル」を貫いた。学年340人中、数学で28番もあったという岡本は「授業は苦にならない。こっちの方が集中できる」と声を弾ませた。

 新チームで公式戦2連敗中の九州国際大付との決勝にも、臆する様子もない。江崎主将は「OBのために甲子園に出たい。三度目の正直で九州国際大付を破り、絶対甲子園に出ます」と語気を荒げた。北部の公立の「雄」として、同じ北部の私学の「雄」に真っ向勝負を挑む。【菊川光一】