<全国高校野球選手権:大阪桐蔭6-2済々黌>◇18日◇3回戦

 藤浪抜きでも強い!

 史上7校目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭が、エース藤浪晋太郎投手(3年)を温存して4年ぶりの8強入りを決めた。背番号10の沢田圭佑投手(3年)が2失点完投、自ら決勝ソロを放ち、大阪勢夏通算150勝の記念星を挙げた。

 沢田が、相手アルプス応援団の大歓声を受け止めた。この日の先発は藤浪ではなかった。西谷浩一監督(42)から「済々黌のすごい応援があって、今日の甲子園はいわばアウェー。一番気持ちの強い沢田が適任」と託された先発マウンドで、沢田は2失点完投と決勝弾で期待に応えた。

 序盤は苦しんだ。今夏ここまで24回2/3イニング四死球ゼロの右腕が2回、先頭への死球から暴投で追いつかれた。西谷監督は「沢田でも動揺するのか…」とくちびるをかんだ。だが沢田の思考は違っていた。

 普段の投球フォームから、1球ごとに投げるタイミングを変えた。「もっと抑える投球があるんじゃないかといつも考えている」。大舞台でも向上心は変わらなかったが、制球が定まらなかった。6回以降は低めをつく投球に戻し、無失点で投げ終えた。

 エース藤浪とは、2人で1人だ。藤浪は「たとえば沢田が制球力なら自分は球速。ないものを補い合って成長してきた」と言う。沢田も大阪では「140キロ以上の球速があって自在に球を動かせる」と、ときには藤浪以上に警戒された。エースと呼ばれて恥じない力量でも「西谷先生のもとで野球をやりたかった自分を育てて頂いた」と縁の下の存在に徹してきた。この日、甲子園で主役になった。

 藤浪が投げなかった試合で強さを証明。沢田は「気持ちをボールに乗せる。それが自分の投球」と胸を張り、準々決勝のバトンを藤浪に託した。【堀まどか】

 ◆沢田圭佑(さわだ・けいすけ)1994年(平6)4月27日、愛媛県生まれ。小学1年から「えひめ砥部リトルリーグ」で投手として野球を始め、久谷中では「えひめ西リトルシニア」に所属。大阪桐蔭では1年秋から背番号11でベンチ入りし、今春センバツ優勝。50メートル走6秒8。遠投110メートル。178センチ、85キロ。右投げ左打ち。