【ソウル(韓国)29日=今井恵太、鎌田良美】ダブルエースで世界一に挑戦だ。第25回IBAF18U世界野球選手権が今日30日、ソウル市内で開幕する。小倉全由日本代表監督(55)は29日の監督会見で、最速160キロ右腕の花巻東(岩手)大谷翔平と大阪桐蔭(大阪)藤浪晋太郎(ともに3年)を“ダブルエース”に指名。大谷は31日のカナダ戦、藤浪は9月1日の台湾戦に先発予定で、この日初めて並んで投球練習を行った。大物2人の共闘で、日本勢として初の優勝を目指す。

 高校ジャパンが誇るツインタワーが、世界一への切り札となる。監督会見冒頭で「優勝を狙う」と宣言した小倉監督は、日本チームをこう紹介した。「みんないい選手ですが、特に藤浪投手と大谷投手。この2人が中心になってくれると思います」。最速160キロを誇る大谷と、甲子園春夏連覇の藤浪。今秋ドラフトの目玉となる右腕コンビを、ダブルエースに任命した。

 小倉監督の本気は投手起用に表れた。午前9時。練習前のミーティングで、大谷を31日のカナダ戦、藤浪を翌日の台湾戦先発に指名した。ともに優勝経験のある強豪で「その辺が一番(の山)になるだろうし、合わせとけよと言いました」(小倉監督)。予選第1ラウンドは6チーム中3位に入れば勝ち抜けるが、優勝するには第1、第2ラウンドともほぼ全勝で終わる必要がある。必勝布陣で1位通過を狙う。

 “世界一指令”を受けた2投手はこの日、初めてブルペンで並んで投球練習を行った。藤浪が「大谷はあらためて球のキレや(腕の)しなやかさがすごい」とべた褒めすれば、大谷も「自分(193センチ)よりでかい選手(197センチ)が横にいたのは初めて。威圧感があった」と豪華競演に刺激を受けた様子。藤浪は中3で世界選手権に出場した際、台湾戦に先発してKOされた過去がある。「初回にいきなり3ランを打たれました。今度はチームの勝ちに貢献したい」と成長した姿を見せるつもりだ。

 さらに大谷は、初戦となる今日30日のチェコ戦に4番DHで出場予定。「まずは野手として準備したい」と話し、打撃練習では11スイング中、7本を安打性の当たりにした。日本勢は過去、同選手権に2度出場していずれも準優勝止まり。04年は横浜・涌井(現西武)や東北・ダルビッシュ(現レンジャーズ)を擁しても優勝に届かなかった。「チームメートなので、しっかり協力していきたいです」(藤浪)。2人の力が合わさった時、高い高い世界の頂点が見えてくる。【鎌田良美】

 ◆大会概要

 IBAF(国際野球連盟)が主催する18歳以下の選手による大会。日本としての初出場は82年の沖縄県選抜。日本代表としては04年が初で、準優勝。今大会は、米国、韓国など参加12チームが2グループに分かれ、第1ラウンド(R)では総当たりのリーグ戦を行う。各グループの上位3チームが第2Rに進出し、第1Rで対戦していない3チームと対戦。第1Rと第2Rの成績を合わせて1~6位を決定。決勝Rでは1位と2位、3位と4位、5位と6位による順位決定戦を行う。

 ◆大会ルール

 DH制を採用し、5回終了時に15点差、7回終了時に10点差がついていればコールドゲームが成立する。9回終了時に同点の場合は、延長10回からタイブレーク方式を採用。無死一、二塁から攻撃を開始する。その際、どこからスタートするかは自由に選ぶことができる。バットは木製を使用する。