<高校野球南北海道大会:札幌南3-2北海>◇6月30日◇札幌地区Bブロック2回戦◇札幌円山

 札幌の古豪対決は札幌南に軍配が上がった。札幌地区2回戦で札幌南が夏甲子園出場全国最多タイの35度を誇る北海に逆転勝利した。先発した左腕エース小野田文哉(3年)が北海打線を5安打2失点で完投。打っては1点を追う8回裏2死二、三塁から、逆転の2点適時二塁打を放った。投打で躍動し、夏は65年ぶりの北海撃破に貢献した。

 札幌南のエースで6番打者、小野田が投打で見せた。1-2で迎えた8回裏2死二、三塁。「自分しかいない」と自ら鼓舞して打席に立つ。真ん中低めの直球を振り抜き、右中間二塁打で2人の走者をホームにかえす。逆転だ。あとは3アウトを取るだけ。9回表、先頭に四球を与えたが、最後の打者を三ゴロに打ち取り、111球を投げ抜いた左手でグラブを軽くたたいて喜んだ。

 2季連続での対戦で北海打線を翻弄(ほんろう)した。今春、地区3回戦で対戦。2-4で敗れた。相手が得意とする分析もあり、内角を「春はあえて使わなかった」。外角を多めに投げる印象を持たせ、今夏は変身。外角、内角を投げ分けて的を絞らせなかった。「同じ相手に2度負けるのは最高に悔しいじゃないですか」とニヤリと笑った。

 ともに創部110年以上、道内屈指の伝統校同士の対決を制した。夏は南北海道決勝で敗れた94年以来の激突で、49年以来の勝利となった。夏甲子園出場が全国最多タイの35度を誇る私立強豪が出すプレッシャーにも負けなかった。小野田は「北海という名前は怖かった。向こうのベンチを見ないようにした」と話すが、「個々の能力は劣るけど、諦めない気持ちは負けない」と強気で立ち向かった。

 兄幸紀さん(筑波大2年)はOBで2年だった11年夏の南北海道4強メンバー。その後、主将も務めた。昨秋、全道準々決勝で敗れると「まだまだだな」とメールをもらった。「兄超えはしたいですね」と、最後の夏に目指すは頂点だ。1つのヤマ場を越え「気を緩めないで確実に勝っていきたい」。戦いは始まったばかりだ。【保坂果那】