<高校野球南北海道大会:小樽潮陵9-2北照>◇2日◇小樽地区Aブロック代表決定戦◇小樽桜ケ丘

 厚い壁を、打ち破った。小樽地区で小樽潮陵が、今春の全道大会を制し、2年連続で夏の甲子園出場を狙った北照を7回コールドで下し、3年ぶりの南北海道大会出場を決めた。同点の7回2死走者なしから、2四球挟む5連続長短打7得点の猛攻でプロ注目左腕の北照、斎藤綱記投手(3年)を攻略。夏は34年ぶりに、甲子園常連校の北照を撃破した。

 小樽潮陵ナインは、決めていた。少しでも相手投手が投げづらいように、打席はベース寄り、前のほうに立つ。9人中7人の左打者を並べたのも、左打者を苦手にする北照の左腕、斎藤攻略のためだ。同点で迎えた7回2死走者なし。対策が、実った。9番佐藤一帆遊撃手(3年)の中前打から始まって、打者11人を送る怒濤(どとう)の攻撃。奈良知実(としみ)右翼手(2年)の勝ち越し適時打に、4番五十嵐玄大(げんだい)捕手(3年)の2点二塁打と、2四球を挟む5連続長短打で、大量7点のビッグイニングとなった。

 越えられそうで、越えられない。それが、小樽潮陵にとっての北照だ。エース原田洸太投手(3年)、五十嵐のバッテリーを含めて、6人が旧チームからのメンバー。昨夏は2-3、昨秋は0-4、今春は1-3で地区予選敗退と、惜敗が続いていた。2回の同点アーチが公式戦1号となった五十嵐は「どうやって抑えるのか。どうやって打つのか。どうしたら、勝てるのか。何をしても崩せない。北照は、ずーっと厚い壁でした」。昨夏の北照戦の動画を携帯電話に保存し、学校帰りのバスで、自宅で、何度も見返し“打倒北照”への闘志をかき立てた。

 夏の北照戦勝利は80年以来。公式戦の連敗は10で止まった。昨夏から4戦連続で登板し、強力打線を2失点に抑えたエース原田は「うれしいというより、やっとか…という気持ちです」。強敵撃破の勢いで、南北海道大会に乗り込む。【中島宙恵】