<高校野球神奈川大会:慶応8-0伊志田>◇16日◇2回戦◇横浜スタジアム

 「エンジョイ・ベースボール」。慶応・上田誠監督(56)が掲げる野球だ。これを初戦(対伊志田)でいきなり見せつけた。先頭に立ったのが、5番の吉田だった。7回2死二塁。1本足打法で豪快に振り抜くと打球は右翼席で弾んだ。「ストライクならなんでも打とうと思った。慶応は打って点を取るチームですから」。その声も弾んだ。

 一塁を蹴って歓喜のジャンプを試みると、着地に失敗してずっこけた。本塁を踏む際には、中日ルナをまねて十字を切り、両手を突き上げた。「山本君(背番号17)がルナのファンなんでやってみたんです」。ベース1周までエンジョイした。吉田の通算14号(公式戦3本)で勢いづくと、5安打を集めて5点を奪い、コールド勝ちを決めた。

 「最近ちょっと違う野球をやっていた。やっぱりあらゆる球をドンドン振っていかないと」。試合後、上田監督が話した。夏の甲子園は08年が最後。この間に豪快さが消え右狙いやゴロを転がす打撃になっていた。気づかせてくれたのは横浜渡辺元智監督(69)だ。「最近、お前のところは怖くない、と言われて。振り回すバッティングをしてないと」。6月初めのことだった。

 以来、練習時間のほとんどを打撃に充てた。細かいことは言わずに振らせた。「(慶応)大学は8割が打撃練習で優勝したが、ウチは9割です」と上田監督。チーム1号の吉田は「大会記録(6本塁打)を目指します」と言い切った。慶応がどこまで野球をエンジョイするか。優勝には、あと6試合ある。【米谷輝昭】