<高校野球青森大会:青森商12-7東奥学園>◇3回戦◇16日◇八戸市長根公園野球場

 青森商のエース松谷隼平(3年)が東奥学園戦に右肘の故障を押して救援登板し、7回を3失点(自責1)と力投した。打っても4打数4安打3打点で、勝利に貢献した。

 松谷が踏ん張り、激戦を制した。先発の工藤駆(3年)が初回に4点を奪われる苦しい展開。予定より早い3回からロングリリーフの松谷が、9安打されながら3失点にとどめた。終盤の8、9回は3人ずつでピシャリ。打っては4回に8-6とする2点適時打など4安打を放った。

 4月27日の春季青森地区大会、青森山田戦で右肘を痛めた。「その瞬間、分かった」と松谷。靱帯(じんたい)損傷で全治2カ月の診断。投球はもちろん打撃練習も禁止された。約2カ月間、走り込みやダッシュ、トレーニングに打ち込んだ。夏に投げられるかどうか、不安の日々が続いた。

 本来は右の本格派で昨年から注目される存在だった。患部はほぼ回復して3週間前から投げ始めたが、上から投げるとまだ痛みがあり、腕の角度を少し下げた。痛み止めの注射を打ち、鎮痛薬を飲んで今大会に臨んでいる。いくつかの変化球が投げられなくなるなどの影響は残るが「タイミングを外すなど工夫した」と投球術も駆使して反撃を断った。

 万全ではないが、夏に間に合った。平山学監督(38)は「ケガで不安の中、トレーニングをよく頑張った。それが報われた」と松谷をねぎらった。伝統校のエースが最後の夏にチームのため、痛みをこらえてマウンドに上がる。「次の試合で先発しろと言われれば、もちろん投げます」。松谷は語気を強めた。【北村宏平】

 ◆松谷隼平(まつや・じゅんぺい)1997年(平9)3月13日、青森市生まれ。莨町小3年から港ファルコンズで野球を始めた。浪打中から青森商に進み、昨年秋からエース番号1をつける。185センチ、72キロ。右投げ右打ち。血液型A。