<高校野球神奈川大会:法政二10-0新城>◇17日◇2回戦◇俣野公園横浜薬大

 父からの置き手紙の言葉を胸に安打を放った。「ギャオス内藤」こと独立リーグ、BCリーグ新潟の内藤尚行監督(45)の、長男法政二・内藤晃大外野手(2年)が、5回の守備から出場。6回無死一塁で打席が回ると、右前打を放った。

 この日の朝のことだった。自宅の机に1枚の紙が置いてあった。普段は監督業のため離れて暮らす父からの置き手紙。前日16日は父も自宅にいたが、起きた時にはもう新潟へ向かっていた。

 「2年生だけど大切な大会だ。無の心境で思いきりいけ」

 普段は粋な計らいなどしない父の行動に感動した。「絶対に打ってやる」と心に決めた。

 5月に左足のすねを疲労骨折。春の地区予選では8打数8安打と大暴れしたが、その影響で調子を落としていた。背番号は7をもらったが、スタメンは外れた。途中出場でも集中力を切らすことはなかった。無の心境であえて狙い球は絞らず、ボール球だったが思い切り振った。「打った瞬間はセカンドゴロかなと思った」と詰まり気味だった。だが、思いがこもった打球は、一、二塁間を抜けていった。父のように叫びはしなかったが、心の中で「やった」と喜んだ。

 次戦の鶴見大付戦に勝つと、4回戦の23日は自分の誕生日。5回戦が予定される24日は父の誕生日。その日の相手は優勝候補の東海大相模が有力で、父も観戦に訪れる予定。「連続でバースデーアーチを打ちたい」。復調のきっかけを与えてくれた父に、恩返しとなる活躍を誓った。【上田悠太】