<高校野球南北海道大会:恵庭南5-3苫小牧工>◇17日◇1回戦◇札幌円山球場

 守って、守って、悲願の1勝-。36年ぶり2度目出場の恵庭南は、札幌地区予選3試合で8失策の汚名を返上。無失策の堅実な守備で、苫小牧工を2点差で振り切った。

 あったはずの守備への自信が揺らいだ、地区で犯した8つのエラー。昨秋から、練習終了間際に5分間のボール回しを実施してきた。1人でも捕球、送球に失敗すれば、全選手がランニングなどの罰則をこなしてきた。「(罰則で)走った量も、守備練習の量も多かった。守りで負けることはないと思っていました」。7回に5点目となる右前適時打を放った荒町は振り返る。

 だからこそ、今夏の地区予選後は、突貫工事で修正した。内野手を中心に、全体練習後、平山良行監督(40)の居残りノックを受けた。毎日、約150球入りのカゴ2箱が空になった。平山監督は「今日はよく守れた。取られても1点ずつだったのが勝因」と満足そうだ。

 バッテリーの努力も結実した。昨秋から捕手の大谷はエース川村とマンツーマンで捕球練習に取り組んだ。川村がショートバウンドを投げ、大谷は太ももでブロックして捕る。「両モモにアザが出来た」という大谷を、川村は「最後まで安心して低めに投げられた」とほめた。

 念願の1勝を手にし、目標は上方修正された。川村は試合前日の16日まで、苫小牧沼ノ端中で同期生だった苫小牧工の長瀬健、長瀬康と「俺たちが勝つ」と言い争っていた。球友の果たせなかった夢も背負う川村は「この勝利は通過点」と、守り勝つ野球で夢舞台をつかむ。【中島洋尚】