<高校野球秋田大会:角館7-3能代>◇18日◇3回戦◇八橋

 「父を甲子園に連れて行きたかった」。敗戦後、能代・伊藤康夫監督(47)の次男健友(3年)は号泣した。8強進出をかけた大一番で先発を任されたが、制球が定まらず5四球3安打で5失点。わずか3回でマウンドを降りた。「僕の力不足でした…」。背番号10の左腕は、肩を落とした。

 そんな息子の姿を、伊藤監督は「よくここまで投げられるようになった」と優しい目で見つめた。健友は中学時代は補欠選手。「高校でも野球をやると言ってきた時には正直驚いた。やっていけるのかって」。だが厳しい指導にも決して音を上げなかった。最後の夏には、マウンドを任せられるまでに成長した。

 「県でしっかりと投げて勝ち抜くことができたら、甲子園では『1』をつけさせるつもりだった」と伊藤監督はいう。父子の願いはかなわなかったが、昨夏準優勝校を相手に堂々と、最後まであきらめずに戦った。健友は「大学に進学して野球は続けたい」。父の教えを胸に、これからは1人で、新しい舞台に挑戦する。【成田光季】