<高校野球南北海道大会:札幌日大5-0小樽水産>◇18日◇1回戦◇札幌円山

 札幌日大の右腕エース佐藤憲一投手(3年)が、小樽水産打線を8回1安打に抑える快投でチームを勝利に導いた。小学生時代、ファイターズジュニアのチームメートで直前の試合に登板した東海大四・西嶋投手の1安打投球に触発。さらには北大会に出場を決めた江陵の弟慶吾内野手(1年)にも「先に負けられない」と意地を見せた。直球、カーブ、カットボール、スライダーの4種類を低めに集め、15個のゴロアウトを奪った。8回78球という省エネで無失点。森本卓朗監督(33)は「持ち味を出してよく粘った」と手放しで褒めた。

 昨秋は背番号1をつけたが、春は10番だった。今大会までの約2カ月は自ら志願して練習場から学校まで約1・5キロの道を、1年生に交じって全力疾走した。斜里に住んでいた小学校低学年のとき、自宅から約7キロ離れた海岸に、1人で自転車をこいで向かった。ホッケやカレイを釣って帰宅した。そんな初心に戻り、自分を鍛え直した。「下半身が安定して、フォームがぶれなくなった」という。

 試合後、父昌憲さん(41)は今日19日に弟の試合が行われる旭川に移動した。明日の兄の試合までに札幌へ戻る。違う高校での兄弟同時甲子園のチャンスはこの夏が最初で最後だ。「気持ちを1つにして甲子園に行きます」。佐藤一家と札幌日大の熱い夏は、まだまだ終わらない。【中島洋尚】