<高校野球神奈川大会:横浜商2-0日大高>◇19日◇3回戦◇保土ケ谷・神奈川新聞スタジアム

 “Y校旋風”だ!

 春夏16度の甲子園出場を誇る横浜商が、春ベスト8の日大高に勝利し、08年以来6年ぶりの夏4回戦進出を決めた。エース浅岡洸汰投手(3年)が6安打に抑えて公式戦初完封。“打倒私学”の精神で、チームを頂点へ押し上げる。

 ゲームセットの瞬間、青く染まった横浜商の三塁側スタンドから大歓声が上がった。08年以来のベスト32入りに、Y校関係者は大人も子どもも跳びはねて喜んだ。就任2年目の榎屋剛監督(53)は「6年ぶりですか。本当はこんなことじゃいけないんでしょうけど、正直にうれしいです」と、伝統校を率いる素直な気持ちを口にした。

 Y校旋風を予感させる勝利を呼び込んだのは、エース浅岡だ。今春ベスト8の第2シードを6安打に抑えて完封した。三振は3つだが、最速135キロの直球に切れのあるスライダーを織り交ぜ、打たせて取った。「今日、一番のピンチでした」と2-0の9回裏1死二、三塁。一打同点の危機にスライダーで三振を奪うと、松本大樹捕手(3年)がすかさず三塁へ送球。三塁走者を刺し、一瞬にしてゲームセットとなった。

 エース右腕は「出来すぎです」と謙遜するが、秘めた思いはあった。円蔵中時代は、強豪の湘南茅ケ崎ボーイズに所属。「入ったのは湘南ボーイズですが、人数が多いので1軍、2軍みたいになっていて自分はいわゆる2軍。控え投手でした」。“1軍”は大半が強豪私学へ進学。「見返してやりたいと思いました。打倒私学の思いは強いです」。昨夏はスタンドから見ていた右腕が、私立校から初完封をもぎとった。

 榎屋監督は「9回は『丸太ラスト5本な』と言って送り出しました。粘れるようになったのは丸太の効果も大きい」と目を細めた。丸太を使用するトレーニングは、同じ長崎出身の山梨学院大付・吉田洸二監督(45)を見習ったもの。約10キロの丸太を抱え50メートルを10秒以内で走るもので、これを20~30回繰り返す。伝統は守りつつ、良いものは積極的に取り入れた。「野球で成功体験のない子たちに、この1勝は大きいです」。昨夏の初戦敗退がうそのような快進撃。90年夏以来の優勝へ向かって、突き進むだけだ。【和田美保】