＜高校野球岩手大会：盛岡大付２－０盛岡三＞◇２３日◇準決勝◇岩手県営野球場

　盛岡大付のドラフト候補右腕松本裕樹（３年）が、盛岡三を相手に１安打完封し、２年ぶりの甲子園へ王手をかけた。

　闘志がみなぎっていた。盛岡大付・松本は「絶対負けたくない」と初回から腕を振った。許した安打は３回に打たれた中前打のみ。直球も、スライダー、フォークなど６種の変化球もさえ、３回以外の８回まで３者凡退で抑えた。

　９回表、先頭に死球を許し、犠打でこの日初めて二塁まで進まれたが、そこからさらにスイッチが入った。続く１番小井田、２番角掛を連続三振。最後の打者角掛へ投じた４球目の直球は、自己最速に１キロ迫る１４９キロを計測した。狐崎楓月捕手（３年）が「今まで受けた中で一番」とたたえる最高の投球。松本も「いいピッチングが出来た。８５から９０点ぐらい」と胸を張った。

　この日は両親、兄、弟の家族全員が応援に駆けつけた。小、中と同じチームでプレーし、現在は社会人チームのフェデックスに所属する健太さん（２０）は、良き相談役だ。昨年末、神奈川の実家に家族が集まった際には「うまく曲がらない」とスライダーのコツを聞かれ、リリースを出来るだけためるよう教えたという。「同じ投手として悔しい気持ちもあるけど、応援したい」と笑顔で話した。

　決勝の相手は昨夏決勝で敗れた花巻東。家族の応援、５戦無失策と心強いバックを味方に「絶対勝って甲子園に行きたい」と松本は言葉を強めた。【高場泉穂】