<高校野球大分大会:大分6-5明豊>◇決勝◇24日◇別大興産スタジアム

 大分が悲願を達成した。明豊との決勝戦で延長10回の激戦を制し、春夏通じて甲子園初出場を決めた。プロ注目で最速150キロを誇るエースで4番の佐野皓大投手(3年)が投打に貢献。連投疲れから5失点も意地の10回粘投に加え、打席でも決勝点をたたき出すなど4打数3安打と気を吐いた。

 涙があふれた。延長10回裏2死一塁、大分の佐野は最後の打者を鋭く落ちるフォークで空振り三振に打ち取ると、雄たけびを上げこん身のガッツポーズを見せた。甲子園初出場を決める歓喜のVに「歴史を変えられてうれしい。九州一のピッチャーと思っているので、甲子園ではその投球をしたい。夢の聖地で日本一を目指したい」と興奮を隠せなかった。

 息詰まる死闘だった。連投の疲れからか、この日、右手親指つけ根に違和感があったという。「言い訳したら九州のエースじゃない。プライドが許さなかった」と耐えながら粘投した。今夏初となるまさかの1試合5失点。2点ビハインドを追って9回2死走者なしとなった場面では「正直あきらめていた」。だが、味方が演じた3連続安打のミラクル同点劇で息を吹き返した。

 9回裏を3人で抑えると、打席で燃えた。延長10回2死三塁で「自分のバットで返したかった」と意地の中前打を放ち決勝点を奪った。試合後、男泣きした佐野徹監督(55)は「(9回2死で)このまま負けるんだなと思ったが、本当にいい選手に恵まれました」。佐野と心中する覚悟で臨んでいた監督を男にしたかった。

 観戦した巨人山下スカウト部長は「制球はいいが、連投の疲れがあったのかな。でもまとまったいいピッチャー。野手としても魅力がある。投打ともに楽しみな素材ですね」と高評価。将来性抜群の剛腕、佐野が甲子園でも光り輝く。【菊川光一】

 ◆佐野皓大(さの・こうだい)1996年(平8)9月2日、大分県佐伯市生まれ。野球は小4から、渡町台リトルヤンキースで始める。鶴谷中時は、大分南リトルシニアに所属し、九州大会4強を経験。大分では1年秋からエースとなり、2年秋から4番も務める。右投げ右打ち。182センチ、70キロ。

 ◆大分

 1952年(昭27)に創立された男女共学の私立校。普通科、自動車工業科、商業科に930人(女子431人)が学ぶ。野球部は52年創部で部員は63人。甲子園は春夏通じ初出場。サッカー部も県内屈指の強豪。主な卒業生は女優財前直見、J2北九州MF小手川宏基ら。所在地は大分市明野高尾1の6の1。小山康直校長。◆Vへの足跡◆2回戦7-2安心院3回戦6-3森準々決勝2-0藤蔭準決勝3-0杵築決勝6-5明豊