<高校野球南北海道大会:東海大四3-2札幌篠路>◇25日◇札幌地区2回戦

 春の全道王者・東海大四が冷や汗ながら、春夏連覇にスタートを切った。夏初戦は3-2で札幌篠路に辛勝だったが、エース佐々木亮(3年)が11三振を奪い、打っては4番伏見寅威捕手(3年)が本塁打で打線をけん引した。春夏連覇でつかんだ93年以来、15年ぶりの夏甲子園に向け、投打の両輪がフル回転する。

 春の覇者が“呪縛(じゅばく)”を何とか振りほどいた。「負けられない」。東海大四ナインの思いが、自分たちに知らず知らず重圧をかけた。札幌篠路に辛くも1点差。大脇英徳監督(33)は「自分たちで勝手に崩れて…。出るものは出たかなという感じ。春とは違うということを選手は分かったのでは」と苦笑いだった。

 打球が一塁走者に直撃&オーバーランで憤死と、春以降の重点項目だった走塁のミスが重なった。10残塁もあり、11安打を記録しながら3点止まり。辛勝に、伏見主将は「試合前から大差ではないと思っていたけど(6回に)2点を取ってひと息して、気の緩みがあったかもしれない」と自戒を込めて言った。

 失点の8回は2死走者なしからの2四死球だった。エース佐々木は2失点を振り返り「抑えてやろうと力んだ。最初の試合なので緊張した部分もあった」。それでも、一打逆転の2死満塁のピンチで踏ん張った。「金星献上」を阻止。春の全道大会から4試合連続完投で、最初の夏の扉をこじ開けた。

 投の柱がマウンドを守れば、打の主役も貴重な一打を放った。6回に飛び出した4番伏見の本塁打は、落とし穴にはまりそうな重苦しい雰囲気を変えた。「最初はレフトフライかと思った。風か何かで」と笑顔は控えめ。両翼92メートルと小さめの球場で通称「麻生アーチ」だったが、終わってみれば効果的だった。

 東海大四は過去8度の春全道優勝で、直後の夏は地区敗退はゼロ。「南大会100%」のお守りを持って戦い、相手の執着心などを思いしらされた“難産”の夏1勝目。佐々木は「負けたら終わりなので1回から9回まで丁寧に投げたい」と気を引き締めた。「選手は受け身にならないようにやらないと」と大脇監督。まずは4年ぶりの南大会代表に向かう。