<高校野球沖縄大会:浦添商5-2沖縄尚学>◇13日◇決勝

 沖縄で全国トップを切って決勝戦が行われ、浦添商が甲子園1番切符をつかんだ。センバツ優勝の沖縄尚学から5点を奪い、プロ注目右腕、伊波翔悟投手(いは・しょうご=3年)が2失点で完投した。浦添商は11年ぶり3度目の出場。沖縄尚学・東浜巨投手(ひがしはま・なお=3年)の春夏連覇の夢はならなかった。今年は従来の抽選会は行わず、試合後に球場で組み合わせのクジを引く。浦添商の初戦(1回戦)は、3日目(8月4日)の第3試合となった。

 勝利の瞬間、浦添商のみんなが泣いた。ナインも、監督も、スタンドの選手も喜びの涙を流した。センバツ王者を破っての優勝。最高の相手を倒して、甲子園切符を手に入れた。

 初回の先制攻撃がすべてだった。立ち上がりの制球に苦しむ東浜の直球を狙い打ち。四死球を挟む4連打で5点を先制。この先取点に守られ、エース伊波は沖縄尚学の追撃を振り切った。最速145キロをマークしたが、10安打を浴びた。6回には1死二、三塁、7回にも無死満塁とされながら、併殺にとってピンチをしのいだ。伊波は「最後まで集中力を切らさず、低めを突けました」と、2失点完投を自己採点した。

 沖縄尚学を倒すために練習してきた。センバツのビデオを見て、東浜の配球やカウント、球速など徹底したデータを出した。大会中も対策練習を積んできた。打順も東浜対策で、準決勝の2、9番を除いて変更した。ハプニングも味方にした。試合前、沖縄尚学が渋滞に巻き込まれて球場入りが遅れた。「相手は気持ちが出来ないまま試合に入っていると思った」と、1番の山城一樹(3年)がチームを代弁、先制攻撃を仕掛けた。

 沖縄を代表する右腕の伊波と東浜。伊波は「決勝で投げ合えて良かった」と振り返った。昨年は準決勝と決勝、降雨再試合の決勝と31イニングを投げ抜いたが甲子園には届かなかった。今年は宿敵を倒しての優勝だ。「今度は僕たちが全国制覇目指して頑張りたい」。試合後、東浜からお守りを渡された。伊波はライバルの分まで、甲子園で大暴れする。【前田泰子】