<高校野球北神奈川大会:旭5-3鶴見工>◇14日◇1回戦

 北神奈川大会で、兄が監督、弟が主将という異例コンビの野球部が初戦を突破した。兄・小寺隆宏監督(20=国士舘大3年)率いる旭は延長10回の末、鶴見工を5-3で振り切った。弟・小寺隼人主将(3年)が先制のホームを踏み、チームを引っ張った。

 勝利の瞬間、兄隆宏は笑い、弟隼人は涙した。延長戦で鶴見工を5-3で振り切った。チームの目標だった初戦突破。隼人が「悲願の初勝利です。本当にうれしいです」と言えば「勝ってくれただけでうれしい。自慢の弟です」と隆宏。この時ばかりは、監督と主将という立場から兄と弟という表情に変わった。

 弟がチームを乗せた。初回。先頭打者として四球を選んだ。すかさず二盗を決めると、後続の安打で先制のホームを踏んだ。この回3点を奪い、主導権を握った。土壇場の9回に追いつかれたが「ベンチのみんなも落ち着いていたし、一体感があった。いけると思った」と隼人。10回2死二塁から相手失策で貴重な2点を奪い、ようやく「目標」を達成した。

 3人兄弟で育った次男隆宏と3歳下の三男隼人。2年前、前任の学生監督が就職活動で辞任するため、後任として同校野球部OBで主将だった隆宏が就任した。2人が同時に同じユニホームを着たのは小学校以来。最初は戸惑いもあったが、そこは兄弟の間柄。隼人の責任感の強さを買って主将に指名したのも隆宏だった。家では野球の話はほとんどしないが、隼人は「やりたい練習や、考えていることは分かる」と話す。初戦突破に、隆宏は「兄弟で一緒に戦えて、今では本当に良かったと思う」と目を細めた。

 隆宏は今年でユニホームを脱ぐ。「教師になってもう1度監督になりたい」という夢を果たすため、学業に専念する。兄と弟の最後の夏は、まだ始まったばかりだ。