そんな言い方をすれば失礼かもしれないが「勝てれば、もうけもの」という試合だった気もするのだ。正直な話。9連戦という難しい状況の中で先発は早川太貴だった。これが今季初先発。対する中日は阪神も獲得したかった関大出身の好投手・金丸夢斗である。

ブルペン・デーという感じでもなかったと思うが「早川でいけるところまでいって」…というパターンだったろう。しかし、やはりプロは甘くない。森下翔太のソロで1回に先制したものの序盤にあっさり逆転を許し、2試合続けて「3-7」で敗戦。2試合連続の逆転負けでもある。

「ふうん」と思ったのは指揮官・藤川球児の話だった。虎番キャップたちに早川について聞かれたとき。選手個人についてはあまりどうこう言わないスタイルをとっている球児にしては、めずらしく厳しい言葉を並べたのだ。

「まだまだアマチュアですね。門別(啓人)も含めてね。プロになるためには、プロの選手とは。学びにいく姿勢をファームの選手を含めて、やらなければ。そのレベルに達してないですね」

前日に打たれた門別の名前まで出し、この2試合の先発投手に「レベルに達していない」と厳しい表現をしたのだ。逆に言えば、自身がそう感じている投手を起用しなければならない状況があるということか…とも思えるのだが、これもミッションの1つである「育成」の一環と思えば意味はあるのかもしれない。

はっきり言えるのは、いつも書くことだが、全部勝つことはあり得ないということだ。優勝した昨季は54敗を喫している。昨季の勝率は6割1分2厘。ここまで32試合を終え、ほぼ同じような数字を、今季、阪神が残しているのは事実だ。

金丸から森下、さらに前川右京が本塁打を放った。9回には佐藤輝明が左腕・福敬登から9号ソロ。期待される長距離砲が本塁打をマークし、負けたものの、虎党もそれなりに満足したゲームになったのではないか、と思う。

「勝ちに不思議に勝ちあり~」で知られる知将・野村克也は同時に「何をしなくても勝つ試合はあるし、どうやっても負ける試合もある」という話もしていた。大事なのは9連戦のラストを締めにいくことだ。6日は高橋遥人と高橋宏斗が先発。好投手2人による「タカハシ対決」をどうとるか。ポイントだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

中日対阪神 4回裏中日無死一塁、降板する早川太貴(右端)(撮影・前田充)
中日対阪神 4回裏中日無死一塁、降板する早川太貴(右端)(撮影・前田充)
中日対阪神 3回裏中日1死満塁、早川太貴は村松開人に3点適時三塁打を許す(撮影・加藤哉)
中日対阪神 3回裏中日1死満塁、早川太貴は村松開人に3点適時三塁打を許す(撮影・加藤哉)