今季初先発となった赤星優志投手(26)は5回を63球3安打無失点で、3勝目を挙げた。
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巨人にとっては、今後に向けての意義がある大きな勝利だった。連戦が続くゴールデンウィーク終盤で、先発は今季初先発の赤星だった。ローテーションの谷間であり、ヤクルトは開幕投手を務めた吉村。こう言っては失礼かもしれないが、首位とゲーム差無しのチームを相手に分の悪い試合になると思っていた。
別人に思えるようなピッチングだった。序盤から果敢に内角を攻めた。だから打者は多少甘く入っても打ち損じてくれる。勝負どころで痛打されなかったのは、内角へのシュートが効いていたからだ。
赤星といえば、いつも慎重になりすぎ、際どいコースを狙ってカウントを悪くして痛打されるイメージがある。球速は150キロ台の真っすぐを投げられるが、力で抑え込めるほどの球威はない。コントロールもいいのだが、失投もある。特にカウントを悪くすると甘くなる傾向が強い。しかし、今試合のように大胆に内角を突いていければ打者の目線はズレるし、思い切って踏み込んで打ちにいけない。
5回無失点で降板したように、まだまだ阿部監督の信頼はないのだろう。ベンチではホッとしたような表情に見えたが、ベンチの信頼を勝ち取るためにもこれで満足してもらいたくない。
嫌な雰囲気だった。ケガから復帰した山崎が再びリタイア。前日の試合で今季初先発した戸郷も相変わらず体の開きが早く、今後に向けて不安は拭えない。たった1試合で言うのも気が引けるが、赤星が今試合のようなピッチングができれば、ローテーションの一角を任せられる。
投手陣は苦しい中、防御率はセ・リーグでトップ。問題は攻撃力になる。気になったのは8回1死一、二塁から2番に起用した松本に送りバントをさせたこと。二塁走者は俊足の門脇で、松本がアウトになっても2アウトからワンヒットで生還できるスピードはある。1死二、三塁を作るための送りバントなら分かるが、萎縮したような攻撃になり、これでは勢いはつかない。結果的にも送りバントは失敗し、嫌な雰囲気を作ってしまった。
一方のヤクルトも攻守がかみ合わなかった。6回に1点差に詰め寄り、なお2死一、二塁では、先発の吉村をそのまま打席に送った。開幕投手を任せた投手で、3ランを打たれただけ。代えたくない気持ちも分かるが、負けている試合であり、勢いのあるイニングだっただけに代打を送ってほしかった。
巨人は赤星が踏ん張り、負ければ貯金がなくなる試合で踏みとどまった。勝てば首位の可能性があったヤクルトは、勝ちたい試合で詰めを欠いた。ゴールデンウィークの最後の一戦がどうなるか、注目したい。(日刊スポーツ評論家)




