<高校野球静岡大会>◇11日◇1回戦

 桐陽-飛龍の校歌も同じ兄弟校対決は、桐陽が3-5で競り負けた。

 歌詞もメロディーも、自分たちとまったく同じ校歌が球場に響いた。なのに歌うことはできず、ただ聞くだけ。桐陽の鈴木雄大捕手(3年)の胸に悔しさがあふれた。試合後の笑顔から一転して涙顔に変わった。「思い切りぶつかれたので悔いはないです」。おえつが止まらなかった。

 天国と地獄の最終回だった。5点を追う中、仲間がつなぎ、無死満塁で回ってきた。ファウルで粘った7球目。「空振りでもいい」と強振したバットにボールが乗った。左翼手の頭を越える走者一掃の二塁打。続く5番小松兼也外野手(2年)の左前打で三塁に進んだ。同点の走者も出て「絶対に勝てる」と信じた。

 6番村上聖矢一塁手(3年)の中飛に、タッチアップを狙った。だが、2歳の時に交通事故で右足首から先を失い、義足。足は決して速くない。迷いが歩を止めてしまった。三本間で挟まれて憤死。「迷ってしまったのが、すごく悔いが残っています」と泣いた。

 同じ義足で甲子園で活躍した曽我健太選手(愛媛・今治西)の姿を見て続けることができた野球は「人生を変えてくれた」。何もできなかった日々を「やればできる」と変えてくれた。4番で捕手、寮長も務めた。試合後、同じ練習場で汗を流した仲良しの飛龍エース石井と抱き合い、思いを託した。「あこがれの選手も続けているので、僕もできる限り、野球を続けたい」。涙をふいて、球場を後にした。【今村健人】