<高校野球茨城大会>◇23日◇4回戦

 常総学院が水戸商に2-5で敗れ、4回戦で姿を消した。87年の甲子園初出場後、4回戦での敗退は13年ぶりのワーストタイとなる成績。8年ぶりのノーシードから茨城大会5連覇に挑んだが、老練な木内幸男監督(79)の「マジック」は不発に終わった。

 9回2死走者なし。常総学院の代打・神佑輔外野手(3年)は三振に終わると、その場に崩れ落ち、自力で立ち上がることができなかった。夏の4回戦敗退は、87年の甲子園初登場後、ワーストタイの成績。昨夏、戦後初の4連覇を達成した王者は力なく敗れ去った。

 取手二時代を含め、春夏通じて3度の全国制覇を経験した名将が、裏をかかれた。木内監督は、水戸商の先発を右横手投げの武藤優太(3年)と予想し、スタメンに7人の左打者を並べた。だが、マウンドに上がったのは左腕の滑川将(3年)。「左(の滑川)は腰が痛くて投げられないって聞いてたんで」と肩を落とし、「カキーンという当たりがなくて、ボショ、ボショってのばかり」。11安打を放ちながら14残塁と、あと1本が出ず「チャンスで打てるやつのところに回ってこなかったですね」と嘆いた。

 常総学院として春夏通じて20度目の甲子園に挑んだ今チーム。木内監督は「練習不足。みんな60点の内容で夏を迎えた。負けるべくして負けた」と振り返った。昨秋、新型インフルエンザの感染が拡大した影響で、関東地区県大会を辞退した。練習も約1カ月できなかった。実戦不足を補うはずの春の県大会は2回戦で、この日敗れた水戸商に2-5に敗れた。

 増田啓二主将(3年)は「気負いすぎてしまった。監督からは楽しんでやれと言われたんですが…」と、消え入るような声で話した。07年秋の復帰後、初めて夏の甲子園を逃した木内監督は「秋に優勝できるようにしないと。明日から練習です」と、悪夢を振り払うように言った。【今井恵太】