22歳の4番、広島鈴木が連敗を4で止めた。1点を追う7回、前日は151キロで空振り三振を喫しているルーキから打った。速球が3球続いた後の7球目、低めフォークに体を開かずバットのヘッドを走らせた。左翼席へ逆転7号2ラン。3回にも山中から特大の左越え2ランをマーク。3安打2本塁打5打点の活躍で、本塁打&打点でリーグトップに並んだ。

 殊勲にも笑顔はない。「ずっと打てていなかったので、少しでもいいところで打ちたいと思っていた。ずっとモヤモヤしていた」。14試合連続で任された4番の責任を痛感してきた。

 モヤモヤ感はチーム状況だけでなく、自分自身にもある。「調子は悪い」と珍しく弱気な言葉を口にもした。「悔しいという打席はない。自分の中で捉えたという打球もないですから」。打席ごとに細かくフォームを変え、巨人坂本勇のフォームを取り入れた打席もあった。「僕はまだ確立した選手ではないので、いろいろ試行錯誤しながらやらないといけない」。移動時も日米打者の動画を見て探求してきた。

 緒方監督は「もう4番目とかは言えん。当たり前のように4番打者としてチームを救う一打を打ってくれる。頼もしい。本当にどんどん成長していくね」と絶賛した。ただ鈴木は「今日1日だけ良くても意味がない。今日だけでは何とも言えない」と先を見据えた。【前原淳】