地道な鍛錬が実った。打撃練習で、投手寄りに少し歩いてから右肩をグッと突き出して打つ練習を取り入れる。「体の開き防止です」。代打で好成績を残していたが、7月からは先発出場が増加。準備の仕方も変わった。毎日結果を出すために、打撃フォームを固める作業を丁寧に繰り返す。「プロは試合に出続けないと。しっかり仕留められたのは、代打の経験が効いているかもしれない」。1打席勝負で磨いた勝負強さに、ボールを呼び込んで打つ技術がかみ合った結果、自身も「記憶にないです。気持ちいい」と驚く5安打の猛打を生んだ。

 11年7月5日ヤクルト戦では、「2番三塁」で先発しながら失策などで2回で交代。苦い記憶しかない静岡で、チームに18安打10得点の4連勝をもたらした。借金も3まで減少。反攻の8月が、カメのバットで幕を開けた。【浜本卓也】

 ▼巨人が開幕94試合目で今季初の2桁得点。今季、両リーグで2桁得点がなかったのは巨人だけで、シーズン初の2桁得点を記録するまで94試合以上かかったのは12年中日(119試合目)以来になる。これまで巨人の開幕から2桁得点なしは、10点以上が1度もなかった1リーグ時代の43年84試合が最長で、94試合目は球団史上最も遅い初の2桁得点試合となった。