「7・42」。今季、西武榎田大樹投手(32)が先発した時の援護点だ。降板するまでに味方打線が挙げた得点を1試合換算したもの。菊池(4・8)十亀(4・1)ウルフ(5・9)今井(6・0)ら他の先発と比べ、かなり恵まれている。チーム勝ち頭の多和田(7・43)に匹敵。ロッテ戦でも7回までに4点をもらい、6回1/3、6安打2失点で9勝目を挙げた。

援護の理由は投球テンポの良さにある。1死から3連打で1点先制された初回は、プレーボールから3アウトまで10分13秒。21球を投げたので、単純に割って1球あたり29秒2を要した。一転、3者凡退を続けた2、3、4回は、それぞれ18秒6、18秒9、20秒2。ポンポンと打ち取った。すると6回、秋山が逆転2ラン。7回にも2点を追加した。秋山は「榎田さんは無理してテンポを速くしている感じがない。打たれても長く感じない」と証言。7回先頭で出塁し、追加点の足がかりを作った山川も「守備の時間が短く感じるので、攻撃のことを考える時間が増える。おのずといい方向にいく」と同意見だ。

榎田に言わせると、テンポとは投球間隔ではない。「いかに自分のタイミングで投げられるか」という。守る野手のリズムも考え、無駄に悔しがったり、マウンドを外したりはしない。

榎田 それ(テンポ)しか考えてません。すごい球を投げるわけじゃない。僕は、持っているもの全てを使わないといけないので。

9勝は「打ってくれるから」。その援護を呼んだのは榎田自身だ。特性を磨き、不可欠の左腕となった。最短で25日に優勝マジック24がともる。【古川真弥】