バッティングカウントだったが、コンパクトに振り抜いた。4-4の7回2死二塁。西武浅村栄斗内野手(27)は「長打は要らない。二塁ランナーの金子は足が速い。ヒット狙いで」と、カウント2-1からロッテ松永の144キロを捉えた。ライナーで左前に運ぶ決勝打。沸き上がるスタンドとは対照的に「チャンスで打ててよかった」と淡々と話した。5回までは3点を追う劣勢を追い付き、最後にキャプテンが決めた。

8回のダメ押し犠飛と合わせ今季105打点とした。打点王争いトップを走るが「数字への思いは、ほとんどないです」と、勝利を求める気持ちが頭を占めている。ただ、乗り越えたい数字が1つある。「110打点はいきたい」。勝ちに直結する打点で、13年の自己最多の更新を目指している。過去の自分を超えた先に、プロ10年目での初優勝があると信じている。

前日未明に遠征先の北海道・旭川で地震に遭った。飛行機が1時間遅れただけで無事に帰京したが、野球用具は、この日の練習に間に合わなかった。それでも「そんなに気にならなかった」と、予備のバットで振り込み、いつもどおり試合に臨んだ。結果、2位ソフトバンクが敗れ、ゲーム差は5に広がった。「(ソフトバンクが)負けろ、とは思うけど、自分たちがいつもどおりの野球をやっていれば大丈夫。ここまできたら優勝したい。必ず優勝したい」と力強く言った。目指すゴールへ、1歩ずつ進む。【古川真弥】