<パCSファイナルステージ:西武5-6ソフトバンク>◇第5戦◇21日◇メットライフドーム

そっと右手を置いた。日米25年間の現役生活を終えた西武松井。セレモニーでは、後輩たちの手で背番号と同じ7度、胴上げされた。最後は1人で左翼のファンのもとへ行き一礼。引き揚げる途中、遊撃の定位置で足を止め、グラウンドを愛でるように触れた。

「ライオンズに入団して、ショートとして育ててもらった場所。現役として『ありがとうございました』という気持ちでした」

テクニカルコーチ兼任で、15年ぶりに古巣に復帰した。出場30試合にとどまり、成績もふるわなかった。9月初め。「心が折れてもおかしくないよね。でも、現役でいる限り、2軍でも試合に出る可能性がある。1本でも多くヒットを打ちたい」と漏らした。登録抹消を経て引退を決意した。

三塁、さらに外野に転向したが「引退試合ではショートを守りたい」と言っていた。ただ、遊撃はフルイニング出場を続ける源田。真剣勝負が続き引退試合の機会はなかった。感謝を込め、遊撃にサヨナラした。

CS出場はなかったが、ベンチ入り。練習から「チームなので。準備するだけでした」とプロであり続けた。その姿は敵軍にも届いた。ソフトバンクの遊撃は、楽天で一緒だった西田。13年のCSでベンチ入りしたが、出場なく、遊撃松井を目に焼き付けた。あれから5年。今ステージでブレークし「稼頭央さんにいいところを見せられました」と喜んだ。志は引き継がれている。【古川真弥】