ドラフト1位候補の立命大・辰己涼介外野手(4年=社)が“2冠”で締めた。関西学生野球秋季リーグ最終節3回戦が22日、わかさスタジアム京都で行われ、立命大が11-2で同大に勝利した。辰己は2安打を放ちリーグ通算122安打とし、田口壮(関学大)の123安打に次いで歴代2位となった。今季は通算3割7分5厘で首位打者に輝き、7盗塁もトップ。堂々の記録を残し、明後日25日のドラフト会議を待つ。

辰己の顔は充実感に満ちていた。「最高です。あと1本出ていたらもっと最高でしたけど、清々(すがすが)しいです。本田圭佑さんじゃないですけど、清々しいです!」。ワールドカップ(W杯)ロシア大会後のインタビューで「清々しい」と話したサッカーのメルボルン・ビクトリーの本田圭佑の言葉を引用し、冗舌に心境を表現した。

田口壮が持つ歴代1位の123安打に、あと3安打と迫り迎えたリーグ最終戦。2回の第2打席で左中間へ3点目の適時二塁打を放つと、8回に俊足を生かした内野安打。122安打で迎えた9回。6番大本からナインは必死につなぎ、2死一塁で1番辰己まで回した。辰己も「こういう星のもとに生まれてるんやろなと思いました(笑い)」と振り返りながら「チームのみんなが応援してくれた。しっかりつないでくれた」と感謝。大学の最後の打席は、初球の変化球を打ち、二ゴロとなった。

「最後ホームランを打ったらかっこいいなと思ったんですけど、そこまでバッティング技術がありませんでした」と話したが、歴代2位の122安打は堂々の数字。打率3割7分5厘で自身初の首位打者にも輝き、盗塁数7も今季トップ。50メートル5秒7の俊足を持ちながらこれまで盗塁へのこだわりがなく、春までは通算11盗塁だった。「(プロ野球で)自分のキャラを考えたら、目指す上で一番近いのは盗塁王かなと思った」とプロの世界への思いが辰己の意識を変えた。

ドラフト会議が25日に迫る。「もう出し切ったんで。これ以上出ない、というところからまた出したんで。期待を込めて祈っていたいなと思います」。スター候補に、まもなく運命の日がやってくる。【磯綾乃】

◆辰己涼介(たつみ・りょうすけ)1996年(平8)12月27日、神戸市生まれ。藤原台小では大淀ボーイズに所属し、有野中では神戸三田ドジャース。社(やしろ)から立命大。1年春から出場しベストナインを3度受賞。リーグ通算122安打。2年時から選出された大学日本代表では主将を務め、7月のハーレムベースボールウイーク(オランダ)ではMVPを獲得して優勝に導いた。

◆田口壮(たぐち・そう)1969年(昭44)7月2日、兵庫県西宮市生まれ。関学大から91年ドラフト1位でオリックス入団。走攻守そろい、95年からのリーグ2連覇、96年の日本一に貢献。01年オフにFA宣言しカージナルスへ。以降8年間でフィリーズ、カブスと3球団でプレー。ワールドシリーズに3度出場し世界一を2度経験。10年からオリックス復帰も11年限りで退団。12年9月に現役引退を表明。日米通算1894試合出場、1601安打。現役時は177センチ、77キロ。右投げ右打ち。