神宮で活躍する自分を想像しながら、両腕を振っている。立大・赤塚瑞樹投手(3年=麗澤瑞浪)は流行の投打二刀流ではなく、左右二刀流の投手。つまり、両投げ投手だ。

小1で野球を始め「小2の時に父が左投げをすすめてくれました」という、年季が入ったスイッチ・ピッチャー。小5の誕生日に父に買ってもらった両投げ用グラブを大切に使い続ける。「軟式用なんですけれど、革が硬めなので」と、こちらも年季ものだ。ブルペンでマウンドで、器用に左右をはめかえる。

持ち球は左右とも直球、スライダー、カーブ、チェンジアップの4種類。右は最速141キロ、左は最速132キロと、利き腕の方がやはり速い。この日の東京国際大とのオープン戦では「今日は右の感じが良かったので」と3回38球全てを右で投げ、打者9人をパーフェクトに抑えた。イニング間の投球練習では7球、左で投げた。

「まっすぐはいいものがあるし、出てきてくれれば」と赤塚に期待する溝口智成監督(51)は「力的には右の方が上。右に絞ってもいいとは思うんだけど…」と言う。一方の赤塚は「今後も両投げでやっていくつもり」と言う。「自分の持ち味だし、他の人には楽しめない野球の楽しみ方ができるから」。

神宮球場のマウンドは、まだ新人戦でしか踏んだことがない。「最終学年として、リーグ戦で投げたい思いは強いです」。公式戦登板となれば、注目必至の存在・赤塚瑞樹。なお、両打ちでもある。