原監督の言葉力は復帰しても変わらず、チームを前へと動かし続けた。語録をたどると優勝までの歩みが透けてくる。

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▽「ゲームに出たらノビノビ、ハツラツと『陽』になろう。『陰』にならず。表裏一体だから、少々『陰』に入ったとしても、すぐに『陽』に変わるように、全員が『陽』に向けて戦う。最後まで戦い抜こう」(3・29広島戦 開幕戦前のミーティングで選手に訓示)

▽「私の中では最善策。ゲームを支配する、勝つということ」(3・30広島戦 9回無死一、二塁から新打線の象徴、2番坂本勇に開幕2戦目で犠打のサイン。今季初勝利を挙げる)

▽「ああいう舞台を舌なめずりというか、よだれを垂らしながらいかないと。どう見ても、口の中が乾いていたように見えるね」(3・31広島戦 1点リードの8回から登板し、1死も取れず降板した桜井にゲキ)

▽「いいごあいさつができたというところで、いいんじゃないでしょうか」(3・31広島戦 開幕カードで3連覇の広島に勝ち越し)

▽「普通じゃないわけだから、これは異常。私も含めて担当コーチというものが焼きごてを入れるぐらいのね、反省をしないといけないところでしょうね」(4・14ヤクルト戦 投手陣が2試合連続2ケタ失点で3位後退。3回6失点の先発畠にクセが出てると指摘)

▽「私よりもはるかに素晴らしい選手ですから。尊敬に値するぐらい非常に大きくなっている。しかしまだ、途上であると。何かあった時にはお目玉をしっかり、ということも私の役割かなと思ってます」(5・1ヤクルト戦 令和初戦。平成1号の原監督に続き、坂本勇が新元号1号)

▽「いつもは(菅野)智之がチームを救っている状態でしたが、今日は打撃陣が彼を救った。鶴でも恩返ししますから、たくさんのものを返すでしょう」(5・8DeNA戦 菅野が7回5失点で降板した直後、7得点で逆転して5勝目)

▽「やや『ビッグベイビー』が困っているかなというところでね。少し助けてあげようかと。勇人、丸、頼むぜと、いうところですね」(6・4楽天戦 不調の岡本を今季初めて4番から外し、6番で起用)

▽「ほお。もう僕の語るところではないです。かしわ手打たないといかんね」(6・9ロッテ戦 阿部が通算401号。当時の史上最多229人目の投手から本塁打を放ち)

▽「今日はどちらかというと甲子園の準決勝。明日は決勝でしょ。そういう心境で戦おうということでしょうね」(6・22ソフトバンク戦 勝ったチームが優勝の交流戦最終戦に向けて)

▽「先頭バッターにホームラン、フォアボール、フォアボール。リズムもへったくれもあったもんじゃない」(6・23ソフトバンク戦 交流戦V逃す。プロ入り最短の1回0/34失点で降板させた菅野に苦言)

▽「キムタクがいればね。拓也聞いてるか!」(7・4広島戦 ベンチ入り選手1人残す総力戦でサヨナラ勝利。捕手不在になる危機は09年に木村拓也を捕手起用した采配に重なった。37歳で急逝した後輩を思い、天井を見上げて叫んだ)

▽「糧にしなきゃ、栄養にしなきゃ。毒を盛られようが、栄養にしなければいけない」(7・24ヤクルト戦 大量失点で2軍降格した大江、古川の若手2人にプロで生きる心得を説く)

▽「1勝目は強く覚えています。その後は朝になれば今日どうやって勝つか。夜になれば明日どうやって勝つか。それしかない」(7・30広島戦 巨人生え抜き監督では史上3人目の通算1000勝を達成)

▽「私は気持ちをかみしめてね、彼に渡した」(8・7中日戦 女子プロゴルファー渋野がプレー中に食べる駄菓子「タラタラしてんじゃねーよ」を不振の岡本にプレゼント。岡本は激走で決勝のホームイン)

▽「2本目は特に私も鳥肌が立つような、これがプロの技というんでしょうか。ファンの皆さんを魅了する見事な本塁打だったと思いますね」(8・9ヤクルト戦 0-7から逆転勝利。岡本は8回に劇的同点3ラン。2本塁打の活躍に)

▽「そうそうそう、だから今日は二重丸、いや、三重丸」(8・30阪神戦 丸が4安打3打点。走塁、守備でも好プレーを連発し)

▽「まだまだが、『またまた』ぐらいになったかな。濁点は取れたよね」(9・15阪神戦 逆転勝利でマジック5。マジック6時点の『まだまた』から、濁点1個ずつ前進)