巨人阿部慎之助捕手(40)が、23日ヤクルト戦後に首脳陣、チームメートへ今季限りでの現役引退を自ら報告した。関係者が引退を惜しんだ。

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▽上原浩治氏(自身も5月に引退。エースとして長くバッテリーを組んだ)「公式戦で初めて組んだピッチャーが自分だったと思う。『打撃と肩はいいが、キャッチングが…』という話だったが、そんなことはなかった。間違いなく打つ、打撃はNO・1のキャッチャー。体が資本のポジションで、丈夫でないとここまでできない。よく頑張った。お疲れさまでした!」

▽日刊スポーツ評論家の森祗晶氏「捕手というポジションはチームの勝ち負けの責務を負わされる。まして常勝を求められる巨人で長年、ホームを守り続けた重圧は相当のものがあっただろう。心からお疲れさまと言いたい。そして違う立場、角度から野球を勉強して、いずれ指導者としてさらに貢献して欲しい」

▽日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏「慎之助との出会いは彼が大学生のとき。全日本代表候補がプロのキャンプに参加する制度があり、彼は横浜(現DeNA)に来た。その時、自分も若かった。粋がって「ファーストミットを用意しとけよ」と言ったのを覚えている。打撃は良かったが、仮に横浜に入団しても負けるつもりはなかった。

巨人に入って、最初はダメだダメだと周りからたたかれた。俺も言われたから気持ちは分かった。そこから歯を食いしばって、結果を出し、ここまでの選手になったのはすごいことだ。指導者になったら、ユーモアもあり、堅苦しさもないから、そういう性格を出してやってほしい。最後、捕手で終われなかったのは悔いがあるかもしれない。でも自分が捕手だということは忘れていないと思う。最後にキャッチャーとしての姿がもう1度見たい」

▽日刊スポーツ評論家の和田一浩氏 外野で守っているときは、いつもホームランを打ちそうな感じがした。なかなかホームランの出ないナゴヤドームで、しかも僕が守っていたのはレフト。左打者で逆方向にホームランを打ちそうだと思うバッターは、阿部のほかに、ほとんどいませんでした。来年はやると思っていたけど、今の時代、本当に惜しまれて辞める選手は少なくなった。そういう意味では、いい引退なのかなって思います。ご苦労さま!

▽日本ハム栗山監督「長い間、野球界を引っ張ってくれて、ありがとう。本当に球界を背負ってくれたし、これからも背負ってくれると思う」

▽ヤクルト宮本ヘッドコーチ「北京五輪でも一緒に戦った仲間だと思っているし、引退するのはとても寂しいですね。僕が引退したときも、東京ドームでジャイアンツの選手とウチの選手がみんなで胴上げしてくれたんです。とてもうれしくて、あとから阿部と相川で企画してくれたと聞きました。すごく優しくて、気が利く男なんですよ。引退したあとも、球界のために大活躍してくれる人間だと思っています。お疲れさまでした」

▽DeNA三浦投手コーチ「ただただ、びっくりしてる。ベンチから見ていても、まだ辞めるとは思っていなかった。これは本人の決断。まだ対戦もあると思うので、自分はコーチとして彼を抑えられるようにやっていくだけ」

▽元ロッテ・サブロー氏(北京五輪予選、巨人で僚友)「捕手で2000安打、400本塁打と、選手としてのすごさは言うまでもない。人間・阿部慎之助は、私にとってかけがえのない友だ。李承■(■は火ヘンに華)の紹介で知り合ったが『そんなことも話して大丈夫なの?』と思うくらい、1人の男として腹を割って話し合える。ぶっきらぼうに見えることもあるけど、おとこ気がある」

▽巨人坂本勇「すごく寂しい。まだまだやれるという中でスパッと決断されて、びっくりしています。(日本一を達成し)もう1回みんなで、銀座でパレードするという新しい目標ができた。僕が次は阿部さんから受け継いだものをつないでいきたいです」

▽巨人山口「昨日の試合後、僕はクラブハウスにいなかったんですけど、直接連絡をいただいた。返せる言葉は『お疲れさまでした』しかなかった。野球の話もたくさんしましたし、気にかけてフォローしてくれたりもしたので感謝しています」

▽巨人マシソン「自分も彼のおかげで日本で長年プレーできたと思っている。バッテリーを組んだ時は彼が『8の字』を書くんだ。『8割、80%で』と。力みすぎないように、という意味合いなんだけど、昨日もベンチから『8』って書いて、送ってくれた」

▽巨人岡本「ビックリしました。ロッカーも隣でしたし、いろいろ教えてもらいました。打席に入る前に『こうしていけ』とか、4番になった時に『みんな見ているから』と言われたことが印象に残っています」

▽DeNA筒香(阿部を尊敬)「2年目のときに阿部さんのバッティングを見て、自分はプロではやっていけないと思うくらい衝撃を受けた。打撃フォームがきれいで、まねしたくてもできない偉大な選手でした。CSでもう1度、対戦できるように頑張りたい」

▽広島石原(ともに09年WBC出場)「縁あって大学時代から声をかけてもらっていた。1学年上で、捕手と言えば…という存在。憧れであり、尊敬する方なので、すごく寂しい」

▽日本ハム宇佐見(巨人時代のチームメート)「アドバイスをくれたり、自分にとってプロ野球でやっていく中での細かい知識を教えてもらった。3年ちょっと一緒にやれたというのはいい経験でした」

▽日本ハム中田(ともに13年WBC出場)「個人的にはいろんな思い出がありますけど、素直にあれだけのバッターがいなくなるということは悲しいですし、まだできるんじゃないかなと思います」

▽阪神能見「びっくりです。いっぱい対戦させていただいて、本当に嫌な打者だった。いろいろ、読まれてるんじゃないかと、対戦してて考えさせられるバッターだった。甲子園でホームランを打たれたのが一番、印象に残ってます。力勝負でいったのをあっさりはじき返されたのでね」

▽西武内海「今日の朝のニュースで阿部さんの引退を知り大変驚きました。僕がジャイアンツ時代は毎試合のようにマスクをかぶって受けていただき、本当に勇気をいただきましたし、阿部さんのミットをめがけて投げれば何とかなる、という安心感もありました。阿部さんはずっと第一線で戦い続けてこられましたし、来年も続けられると思っていたので非常にショックです。これからは阿部さんの手で素晴らしい選手を育てていかれることと思います。19年間の現役生活、本当にお疲れさまでした」

▽西武森「バッティングを参考にすることはないが、打てるキャッチャーとして目標にしていました」

▽西武中村「あれだけの実績のある方ですから、重い決断だったと思います」

▽中日小林正人広報(現役時代、阿部キラーとして活躍。通算27打数4安打、打率1割4分8厘、被本塁打0)「僕は大打者がいたから存在価値があった。11年の9月6日からの巨人3連戦(ナゴヤドーム)で、3試合連続で阿部さんとだけ勝負したのが、いい思い出です。現役時代から交流はなかったです。いい人と思ってしまうと勝負できなくなりますから。引退して2年くらいたってからも、中日との試合では、僕がいるか、いないか気になると言われているという話を聞いて、うれしかったですね」