去就が注目されていた中日松坂大輔投手(39)が4日、中日を退団することが決まった。3日に球団に退団の意思を伝え、この日ナゴヤ球場で加藤宏幸球団代表と3度目の会談を行い了承された。

戦力外の手続きが取られた同投手は現役続行を希望しているが、今後西武が調査に動く可能性がある。

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フェニックス・リーグ参加選手たちが練習をするナゴヤ球場に松坂は現れた。ユニホームではなく、スーツ姿の正装だった。球場のベンチ裏、屋内練習場、昇竜館。門倉2軍投手コーチをはじめ、今季のほとんどをともに過ごした選手、スタッフらに退団のあいさつをしてまわった。

「球団には感謝の思いしかありません。大した力になれなかった僕を一生懸命応援してくださったファンの皆さんに感謝しています。自分自身の残り少ない野球人生を考えた時に、外に出るのもいいんじゃないかなと思いました。2年間本当にありがとうございました」。松坂は3度目となる加藤代表との約30分の会談を終えると、報道陣の前で、ゆっくり言葉を選びながら感謝を口にした。

退団理由も自ら語った。「1カ月弱悩んだが、森さんとデニーさんが退団した。僕は2人にドラゴンズに拾ってもらった。『僕もいちゃいけないな』と思った」。メジャーを退団後、3年間所属したソフトバンクで結果を残せなかった。18年1月に中日の入団テストを受ける道を開いてくれた前監督の森シニアディレクター、友利結編成部国際担当が1日に退団した。中日のユニホームを脱ぐ理由の1つだった。

来季も現役続行を希望している。中日は戦力外の手続きを取り、自由契約選手として公示される。「どうなるか分からないですけど、またグラウンドで会えるように頑張っていきたい」。動向に注目が集まる中、古巣の西武が今後、調査に動く可能性がある。ソフトバンクを退団し中日入りした2年前も、獲得に向け動いていた。契約が可能になるのは合同トライアウト実施後。それまでは静観の構えだ。

◆松坂大輔(まつざか・だいすけ)1980年(昭55)9月13日生まれ、東京都出身。横浜高3年時に、98年の甲子園春夏連覇。同年ドラフト1位で西武入団。1年目の99年に16勝で新人王に輝き、同年から3年連続最多勝。07年にレッドソックスに移籍し、同年世界一。15年にソフトバンクに入団し日本球界復帰。18年中日に移籍し6勝を挙げカムバック賞を受賞。今年はキャンプで右肩を故障し、2試合の登板で未勝利に終わった。最優秀防御率2度、最多奪三振4度、沢村賞。00年シドニー五輪、04年アテネ五輪、06、09年WBC日本代表。183センチ、93キロ。右投げ右打ち。

▽中日与田監督(松坂退団について)「私も力になれなかった。彼も不本意な1年だったと思う。チームを去ることには、寂しさを感じる」

▽中日加藤球団代表(松坂退団を受け戦力外通告扱いに)「彼みたいなスーパースターがドラゴンズで2年間プレーしてくれて、若い選手にもいい影響を与えてくれて感謝している」