巨人原辰徳監督(61)が、「金田魂」を継承して7年ぶりの日本一を目指す決意を語った。金田正一氏の死去から一夜明けた7日、東京ドームでの全体練習開始前に、選手とともに黙とうをささげた。中堅付近まで歩を進め、帽子を取って右中間スタンドに掲げられている背番号「34」のユニホームに向かって約40秒間、静かに目を閉じた。

「非常に残念ですけど金田さんは自分の人生を全うされたと思います。影響を受けた野球人の1人として『金田イズム』『金田魂』を大事な宝物として、後輩たちに伝えていきたい」

訃報は前日に長男賢一さんから受けた。今季は宮崎キャンプ、6月の東京ドームでも顔を合わせた。「『軽く脳梗塞したんだよ』って言ってね、ご飯を食べたのが最後。7月の終わりか8月。ここ1カ月ぐらい、考えてみると連絡を取り合ってなかった」と驚いた。金田氏の自宅にはテレビ6台が置かれ、巨人戦は欠かさずチェックしていたという。「金田さんでもお亡くなりになるんだなというね。僕から見ると鉄人であり、野球の教科書。特に野球に取り組む姿勢、生きざま、戦いざまは大変影響を受けた先生の1人」と感謝する。

400勝を挙げた先人からは「全力で走る、全力で投げる、全力で振る。これはとても大事なこと。その状態にならない選手は機能しない」と常々言い聞かされてきた。選手のコンディションを重視し、戦う姿勢を求めるのは原監督の原点に重なる。都内の自宅に花を贈り、9日から始まる戦いに向けて気持ちを引き締め直した。【前田祐輔】