優勝監督の言葉に、すべての思いが込められていた。リーグ連覇を果たした西武辻発彦監督(60)は、本拠地で始まるクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ、ソフトバンク戦に向けて言った。

「リベンジとしては格好の相手」。敗退した昨季と同じ相手、同じ場所。「絶対にやり返すという気持ちで、死ぬ気でかかっていく。ああいう思いはもうしたくない」。高ぶる気持ちが言葉にそのまま乗り移った。

流した悔し涙は忘れていない。1勝のアドバンテージがありながら、初戦を落とし2勝4敗で日本シリーズ進出の道は途絶えた。シーズン終了のあいさつでは、マイクを前に言葉を詰まらせ男泣き。「ここでは絶対に負けられない。絶対勝つという気持ちを持ってやる」。ファンで埋め尽くされた本拠地で、パ・リーグ王者として2年続けて土はつけられない。

下馬評を完全に覆すには突破しかない。「いろんな評論家の人たちが、ソフトバンクの優勝を予想していた。そういう意味でもやり返したい思いは強い」。レギュラーシーズンは12勝13敗と負け越し。指揮官自ら口にした「リベンジ」に集約された意味は重い。

勝つために真っ向勝負を仕掛ける。「ウチのチームは奇策はできない。普段通りいければいい」。CSファーストステージの期間は、ホームで調整。4番中村を中心とした山賊打線は8人が規定打席に到達した。手の内は宿敵にも明らかだが、固定された打線をあえていじるつもりはない。「必ず勝って、日本シリーズにいく。その目標しかない」。勝った方が強い。文句なしの力比べが幕を開ける。【栗田成芳】