頼もしい男が帰ってくる。阪神ピアース・ジョンソン投手(28)が13日の巨人とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(S)第4戦でベンチ入りする。最強リリーバーは夫人の出産立ち会いでCSファーストS直前に米国に帰国していたが、11日に再来日。1児の父となった右腕は、1敗もできない苦境に追い込まれているチームへの全力貢献を誓った。

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ジョンソンが戦場に戻ってくる。チームはこの日、東京ドームで非公開練習。11日に再来日したジョンソンも調整に努めたとみられる。照準はもちろんG打線斬り。「とにかく自分のできることをやって、みなさんの助けになれるように。13日から頑張っていきたい」と戦列復帰への思いを言葉にのせた。

シーズン58試合に登板し、防御率1・38と抜群の安定感で最強ブルペン陣を支えてきた。シーズン最終盤に逆転CS進出を決めた6連勝中も3試合に投げた右腕の帰還。ジョンソン不在の中、チームはDeNAとのCSファーストS、11日の巨人とのファイナルS第3戦を投手陣一丸で乗り切り、勝利をたぐり寄せてきた。虎にとって最大の武器である救援陣に、柱であるジョンソンが戻ってくるとあって、矢野監督も大きな期待を寄せる。状態確認を最優先としながら「帰ってきてくれたのは心強い。(本人の)気持ちは『いく!』というのにオレは止めることはない」と語った。

もちろん、ジョンソン本人も気合十分だ。5日朝、夫人クリスティーナさんの出産に立ち会うために米国に帰国。「チームに感謝したい。人生の中で最高の瞬間だった。その瞬間に立ち会えるよう、チームの方にお気遣いいただき、帰らせていただきました」。出産は無事に終わり、第1子の男の子ブレックくんが誕生。父となり、背負うものも増えた。愛妻からは「待っているから、頑張ってきて!」と、送り出された。

台風19号の影響でこの日の試合が中止となり、13日に開催される。救援陣フル回転だったチームにとっては大きな1日にもなったはずだ。日本シリーズ出場のかかったプレーオフやCSで、ストレートで王手をかけられたのは過去16チームあるが、いずれもシリーズ進出を果たせていない。突破率0%からの奇跡を、虎は成し遂げられるのか。ただ、球史に残る反攻へのピースが埋まったことは確かだ。【奥田隼人】