パ・リーグ2位のソフトバンクが快挙ずくめの2年連続下克上突破だ。

今宮健太内野手(28)がクライマックスシリーズ(CS)史上初の1試合3本塁打と大暴れ。6打点の活躍でリーグ王者西武を下してのCSファイナルステージ突破に導き、MVPに輝いた。シーズン2位以下の同一球団が2年続けて日本シリーズに出場するのは初のケース。同ステージで初戦から4連勝突破もパ・リーグ初。19日からヤフオクドームで巨人を迎えて日本シリーズを戦い、3年連続日本一へ挑戦する。

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今宮の3本の放物線が、2年連続の下克上突破への決め手となった。「(明豊)高校3年生以来」という3本は、まずは3回に先制ソロ。1点差に迫られた6回に突き放す2ランを放つと、9回にはトドメの2ラン。いずれも左翼へ豪快に運んだ。初回に中前打、7回の適時打とあわせて5安打6打点。「今日、突破を決めたいと思っていた。(打撃には)自分でもビックリしています」。ファイナル制覇への気持ちをバットに乗せ、暴れ回った。

3割20発を目標にした今季は、昨年痛めた左太もも裏痛に悩まされ、6月下旬から1カ月離脱。その後も休養を挟みながらの出場で、思うような打撃ができていなかった。ファーストステージは10打数1安打。9日のファイナル第1戦前に早出特打を行った。「どのスイングが振りやすいかと探りながらだった」。その日によって変わる不安定な状態。第2戦までは白色の830グラムの軽いバットを使っていたが「ヘッドが利いた、いつもの方がいい」と、第3戦から黒色の860~870グラムのバットに。狙い通りヘッドを使い、アーチを描いた。「CS前は最悪だった。日に日にスイングがよくなった」。ファイナル4試合は19打数10安打、3本塁打、7打点をマークした。

下克上での日本一へ。「2位の悔しさだけをぶつけてきた」と語った今宮同様、思いはベンチも同じ。工藤監督はファーストステージで松田宣をスタメンから外し、ファイナル第1戦では内川に代打を出し、この日は内川にバントをさせた。短期決戦で勝利だけに徹底した采配について「勝ちたいという思いは選手に伝わった」という。CSファーストS第2戦からの6連勝を決めた原動力は、V逸の悔しさだった。

日本一を決する相手は巨人だ。00年以来の日本シリーズの顔合わせ。工藤監督は「パの代表として日本一を目指したい」。MVPに輝いた今宮も「めちゃめちゃ強いと思う。日本一目指して頑張っていきたい」。3年連続日本一しか見えていない。【石橋隆雄】

▼今宮が3本塁打を含む5安打、6打点。日本シリーズを含むポストシーズンで1試合5安打は初めてとなり、1試合3本塁打は15年日本シリーズ<3>戦山田(ヤクルト)に次いで2人目、プレーオフ、CSでは初めて。1試合6打点はポストシーズンタイ記録で、日本シリーズの63年<7>戦柴田(巨人)04年<3>戦カブレラ(西武)とプレーオフ、CSの73年<4>戦大橋(阪急)08年2S<2>戦小笠原(巨人)18年ファイナルS<2>戦栗山(西武)同<3>戦上林(ソフトバンク)に次いで7人目。