阪神が18日、甲子園での「2次キャンプ」で、地獄のサーキットトレーニングを敢行した。8種目を約30分間、新外国人ジャスティン・ボーア内野手(31=エンゼルス)とジェリー・サンズ外野手(32=韓国・キウム)や福留や糸井のベテラン勢ら全員参加だ。本来なら、この日はセンバツを控えたリハーサルが行われる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止。高校球児の無念も胸に秘め、聖地で熱さたっぷりに動き回った。

   ◇   ◇   ◇

センバツが中止になった甲子園は、阪神ナインの熱気ムンムンだった。「2次キャンプ」2日目。午前の最終メニューは地獄のサーキットトレーニングだ。メディシンボール腹筋など、最大40秒の8種目2セットを30分間、ノンストップでこなす。息も絶え絶えだ。踏み台ステップ昇降で足取りの重い上本の姿を見つけた福留は「上本、休憩してます!」と声を張り、至近距離で見守った。

一塁側アルプス席ダッシュで、一気に駆け上がった糸井が「ナンバーワン!」と声をはずませれば、助っ人も鬼の形相で疾走だ。サンズが「最高だね。こういうのは初めてだよ」と話せば、122キロの巨体を揺らしたボーアも「みんなで追い込む。いいメニューだよね。オフはああいうトレーニングをしている。階段を上がったり」と深くうなずく。練習参加の野手陣が全員参戦し、苦しいメニューを明るく楽しくこなした。

本来なら、この日はセンバツの開会式リハーサルを予定していた。高校球児が胸を張って入場行進しているはずだった。新型コロナウイルス感染拡大の余波で19日からの大会も苦渋の中止…。聞こえてくるはずの足音が消えた。晴れ舞台を奪われた思いは痛いほど分かる。かつて甲子園球児だった福留も12日に「今回こういうふうになってしまって、球児たちがすごく残念な思いをしていると思う。それをまた自分たちが成長できる糧として頑張ってほしい」と話していた。

プロ野球も開幕日を決められない。それでも日々、最善を尽くす。福留は練習後に「期間が空くので、それこそ、もう1回、イチからというのも、また1つだと思う」と話した。異例となった2日間のミニキャンプ。井上打撃コーチは「巨漢のボーアも『ハアハア』言って、顔を真っ赤にしていた。軽い体重の人と120キロのボーアはキツさが違う。『体をいじめる時期』とは言っている。『もう1回、土台を作ろうよ』という話は理解してくれている」と説明した。

重量型の縄跳びを終えた糸原は「明日、休みあるよ! 休み移動あるよ!」と期待感たっぷり。いや、19日も、もちろん練習なのだが、とにかく、沈滞ムードが吹き飛ぶ、前向きな姿勢が際立った。【酒井俊作】