西武がいよいよ再スタートを切った。18日、埼玉・所沢のメットライフドームで、午前と午後の2部制による分離練習を行った。4月2日以来、46日ぶりのチーム練習で、辻発彦監督(61)をはじめコーチ、選手全員がユニホームを着用し汗を流した。新型コロナウイルス感染に最大限の注意を払いながらの再出発。月末には紅白戦を予定する。

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最初の1歩は、大きな1歩だった。メットライフドームにユニホームを着た山賊たちが帰ってきた。2部制に分かれ、それぞれ約2時間ずつの練習。辻監督は、85番のユニホームを着て、マスク姿で見守った。4月2日以来のチーム練習後、オンライン取材での第一声は「すべての選手がユニホームを着て、本当にいよいよ第1歩を踏み出した」。苦悶(くもん)の日々が少しだけ晴れた。

野手はフリー打撃で快音を、投手はブルペンでミット音を鳴らした。「選手みんな集まって同じメニューをこなして、機械を相手していたバッターも手投げでボール打てたり。いよいよ始まったなという気持ちになっていると思う」。野球ができる選手の喜びを代弁した。同時に、覚悟もにじませる。「これから大変だなと思います」。新型コロナウイルス感染予防と野球の両立には、従来とは違ったやり方が求められる。

当たり前のように声を掛け合っていたケージ裏やブルペンでも、密にならないよう意識的に距離をとる。ウエート場は時間差で利用し、マスク着用と消毒を義務化。「不便なところはある。密室に集まらないよう、お風呂も湯船にゆっくりつかれないし、食事の部分も試合が始まったら考えないといけない。不便なところが出るが、そこは仕方のないところ」。知恵を絞りながら、新しい形を生み出すしかない。

今後は目標とされる6月19日の開幕を見据え、3勤1休で練習し、シート打撃など実戦形式へ入る。29、30日には紅白戦を予定。「まずは野球をやるやらない以前に、健康な体でこうやって顔を合わせるというのを一番重要に考えています。そのためには、コロナに感染しないのが一番。うちのチームとして1人も出さない。それを願って、我慢というか、辛抱してやるしかない」。予防と野球、両立の戦いにシフトしていく。【栗田成芳】

○…再開初日から、辻監督はブルペン投球を見届けた。ノリン、平井、森脇らが投げ込む姿に「投げているなとうれしくなった」。特に左肩痛で出遅れていたノリンは気に掛けていただけに、開幕延期の時間を使って調整を続けてきた様子に一安心。「6月にいきなり練習試合で全力で投げたり、打ったり、走ったりは、そこまでできない」と徐々に上げていく考えだ。