矢野阪神がファンとともに日本一へ歩んでいく。23日、本拠地甲子園で1軍集合練習をスタート。首脳陣、選手がファンに笑顔と力を届けることを誓い合った。新型コロナウイルスの影響で無観客によるシーズン開幕が決定的な状況だが、チーム内で新たなファンサービスを検討している段階。練習後、オンライン取材に応じた矢野燿大監督(51)も新サービスを“予告”するなど、乞うご期待だ。

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約2カ月ぶりの光景が甲子園に戻ってきた。投手、野手が同時間で行う集合練習。午前に始まり、ランチを挟んだ2部練習。グラウンドでは投内連係プレーやシートノック、打撃練習などが行われた。活動休止に入った3月27日以降、自主練習、分離練習と1歩ずつ歩を進めてきた。矢野監督は「全員で集まってユニホームを着て甲子園でやれるありがたさ、みんなそろってやれるうれしさ。そんな感じでした」と率直な心境を語った。

ファンの存在が改めて虎戦士に刻まれた1日だった。指揮官は練習前、青空が広がるグラウンドで選手に語りかけた。

「本当にいろんなことに感謝してやっていけたら。俺らが目指すところは何も変わらないので日本一になる。日本一になるだけじゃなく、今年こういうことがあった中でファンのみなさんにパワーを与えたい。苦しい時こそ楽しく、苦しい時こそ笑ったり、そういう姿で元気や勇気を伝えることができると思う。そういう姿を今日から新たに見せていきましょう」

練習後、オンライン取材に応じたキャプテン糸原も呼応した。「スローガン(It's 勝笑 Time!)を確認しながら、ファンを喜ばせる中で勝ちにこだわってやろうっていうことだった。また一からスタートして、最高の1年にしたい」。

今季開幕は無観客開催が決定的だが、ファンとともに歩む。糸原は今後の新たなファンサービスについて「自主練習再開後に(ビデオ会議システムの)Zoomで監督、コーチ、選手で話し合った。案も結構出ている。無観客の中で出来ることをしよう、と。ファンを喜ばせるアイデアを出しながら試合をしていきたい」と、チーム内で検討されていることを披露した。

矢野監督は「内緒!」と詳細を伏せたが「いっぱいある。こういう事態でどういうことができるかは、プロとして必要な部分。野球でプレーで喜んでもらうだけでなく、プラスアルファの部分をみんなの協力でチャレンジしていきたい」と、新展開を“予告”する一幕も。勝利に、矢野ガッツに、どんな斬新なアイデアによって実施されるかベールに包まれているファンサービス。まもなく訪れるであろう戦いとともにワクワクが倍増だ。【松井周治】

○…矢野監督はボーア、サンズの新助っ人野手コンビについて、今後の実戦で調整と見極めのため積極起用する考えも示した。「マルちゃん(マルテ)以外は今年から。打席に多く立つのは必要になってくる。枠の問題もあるので、こちらとしてはいろんな判断をするのが必要になる。基本的には多く打席に立っていくような調整をしてもらおうかと思っています」。24日にシート打撃をメニューに組み込む予定で、今後は紅白戦の実施も視野に入れている。

○…記念球が手に入る? 矢野監督が23日午後5時から放送されたカンテレ「こやぶるSPORTS」(関西ローカル)にオンライン出演し、新たなファンサービスの一部を紹介した。ホームランボールを打った選手のメッセージ付きでプレゼントするというもの。「ホームランボールを楽しみにしているファンがたくさんいる」。運が良ければ節目の記念球もファンのもとへ…? 開幕しても当面は無観客だからこそできる新たな形のファンサービスに取り組んでいく。