新型コロナウイルス感染から回復した元近鉄、日本ハム、楽天監督の梨田昌孝氏(66=日刊スポーツ評論家)が26日、本紙のインタビューに応じ、50日間に及んだ闘病生活を振り返った。生命にかかわる危機を告白。奇跡の生還を果たし、プロ野球開幕に向けて社会復帰に強い意欲を示した。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

-一般病棟でリハビリが始まりました

梨田氏 でもまだ自力で歩けないし、点滴もいっぱいしていた。フニャっとなってベッドに座ることもできない。腰に力、背骨に力が入らない。もちろん家族は面会もできません。部屋にいらっしゃる医師、看護師さんもみんなマスク、防護服、フェースシールドをつけてるのをみて、自分はまだまだなんだなと感じました。コロナってこんなにしんどいのかと、つらかったです。

-治療薬「アビガン」は使用しなかったようですね

梨田氏 あれは初期症状の患者に使うようで、先生からも「使ってません」と説明を受けました。人工呼吸器をつけた重症者は、まず飲める力がない。錠剤をくだいて点滴にしたりというのはできるらしい。エクモ(体外式膜型人工肺)も装着していません。

-回復に向かっている実感はあったのですか

梨田氏 人工呼吸器を外した後、のどが炎症していて、1週間は声が出なかった。いずれまたNHKで解説の仕事をさせていただくために必死に声をだす練習をしました。マスクは食事を取るとき以外はつけっぱなしで、1日21、22時間はしてたのもつらく感じた。マスクは胸の後ろからゴムで固定され、これがすれて痛くて眠れなかった。

-PCR検査で陰性結果が2度続くことが退院の条件と知られています

梨田氏 そこまでいくのが大変でね。最初ドクターから「1度陰性になっても、次は陽性の確率が高い」と言われてたがその通りでした。18回も検査した患者もいたらしいです。わたしも鼻の奥の奥まで入れられ、コロナのカスなのか、徹底的に行われました。

-陰性結果が2度続いたのが5月6日です

梨田氏 トータルで8回検査を受けたが、それだけで2週間以上かかったことになる。陰性の後で陽性がでたときはため息がでます。陰性、陽性、陰性、陽性、陽性、陽性、陰性、陰性…。やっとです。それと同時に不整脈がでたのは、まずいなと思いました。

-今までなかったことですか

梨田氏 ええ、今までなかった症状でした。心房細動で機能低下したようです。一般的には血管に血栓が詰まって病気になるケースもあるみたいです。昨年12月に検診を受けてるので、そんな急に不整脈がでるはずがなかった。コロナの影響と思います。しかし、脳の検査も済ませ、今では不整脈も治って正常です。