全員の思いをボールに込めた。ドラフト会議後、最初の登板となったDeNA1位の明大・入江大生投手(4年=作新学院)は東大打線を6回4安打無失点に抑え、チームメートの4年生のリーグ戦初登板機会をお膳立てした。東大は46季連続最下位が決まった。

オリックス4位の立大・中川颯投手(4年=桐光学園)は3回1安打無失点で昨秋以来の勝利。ロッテ1位の法大・鈴木昭汰投手(4年=常総学院)は3回4失点で敗れた。

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入江は内容より結果にこだわった。6回4安打無失点に抑えるも、序盤は制球がいまひとつ。4回まで毎回、得点圏に走者を背負い「20点、30点」と自己評価した。ただ、0でつないだことで「最後は金光に、みんなでつなごうと。結果はどうあれ」と安堵(あんど)の表情で振り返った。

9-0の9回、金光勇介投手(4年=大分上野丘)が4番手で上がった。4年秋でリーグ戦初登板だった。入江は「気温が低いし、マウンドはいつもより軟らかい」と助言し「雰囲気を楽しんで投げれば抑えられるよ」と送り出した。3四死球から3失点しながらも、奮闘する右腕の姿に「一生懸命、腕を振っていた」と気持ちを揺さぶられた。

泣いても、笑っても、4年生にとってラスト2試合。金光はデータ分析などでチームを支えてきた。最後に登板させたいという4年生の総意が田中武宏監督(59)に伝えられた。監督からの条件は「点差を離せ」。接戦なら入江の続投だった。打線も奮起。序盤から点を積み重ね、舞台を整えた。田中監督は「自分たちで言ってきて、実行した。大したもの」と、チームの結束に目を細めた。【古川真弥】

▽東大・早川怜志内野手(打率リーグ2位で臨みながらこの日は4打数無安打で急降下) 1点につながる打席にしたかったが、今日はなにもできなかった。明日はできるようにして、後輩に勝ちを残したい。