ロッテ平沢大河内野手(23)の1発に、ロッテファンは拍手喝采だった。

先頭で迎えた8回、楽天高田萌の低め145キロをしっかり捉えた。「打った感じは良かったです。風もフォローでしたし」。ラインドライブ気味の打球ながら、失速前に右翼席へ突き刺さった。

仙台育英(宮城)で甲子園をわかせた遊撃手も、今は二塁を守る。手術明けの右肘はまだ100%には至らないものの「それなりにはできているので、そこを言い訳にしないように頑張りたいです」と自信をもって動く。

井口資仁監督(46)の思いも同じだ。「大河もアピールしなくちゃいけない立場ですから。(肘が)万全ではないですけれど、その中でもやることはやらないと、彼もレギュラー争いがかかっているので」。新外国人エチェバリアの来日遅れは、平沢らには絶好のチャンスでもある。

東日本大震災から10年。「10年、あっという間だなと思います」と話す。宮城・多賀城市生まれ。中学時代はサーフィンが盛んな七ケ浜町で白球を追った。震災当時は中学1年生。見知った場所も大津波の被害を受けた。「忘れちゃいけないこと。風化してしまうこともあるけれど、胸にとどめながら、しっかり頑張っていきたいと思います」。全国からの支援。野球で恩返しを、と誓う。【金子真仁】