新潟は福島に5-8で敗れた。2年目の7番奥田昇大一塁手(23)がチーム唯一の適時打を記録した。0-1の4回裏1死一、三塁から左翼線に同点となる適時二塁打。本職の捕手以外の位置を守りながらも、セールスポイントの打撃では期待通りに結果を出した。

在籍15年目の稲葉大樹内野手兼野手コーチ(36)は1番三塁手でオープン戦初スタメン。2打席目に右前打を放った。

痛烈な打球が左翼線を破った。「最低でも1点が欲しかった」。1点を追う4回裏1死一、三塁。狙い通りに奥田は同点打を放った。福島・斎藤郁也投手(21)のスライダーを鋭いスイングでとらえる。「中途半端ではなく振り切る」。意識した形で結果を出した。

この日は一塁手で先発した。4回裏の攻撃後に退いたが2打数1安打1打点。本職は捕手だが今季オープン戦は、それ以外の守備位置や指名打者での出場が続く。橋上秀樹監督(55)は「捕手としての奥田はまだスローイングに課題がある」と斎藤優乃(21)を捕手陣の中心に据える。同時に「打つ方では外せない存在」と打線の要として奥田に一目置く。

奥田も「捕手でなくてもチームに貢献できれば」と与えられた役割の中で仕事をすることを第一に考える。オフは阪神の練習に手伝いで参加した。ファームの平野恵一打撃コーチ(41)から指導を受け「ぎごちなかった」(奥田)という左足の使い方の修正に取り組んだ。新潟の稲葉兼任コーチとともに連日のように打撃練習もし、徹底的に振り込んだ自信はある。

橋上監督は「本来ならサインを出して点を取りに行く場面もあったが、まず生きた球を打つことに専念させた」とオープン戦では個々の打撃内容を重視。その中で奥田はアピールした。「チームのプラスになることを考えて打席に立つ」。オープン戦は残り3試合。10日群馬との開幕戦へ奥田のギアは自然と1段上がった。【斎藤慎一郎】