プロで初めて迎える誕生日に自らプレゼントを贈った。阪神ドラフト2位の伊藤将司投手(25)が、開幕から無傷の3勝目を笑顔でつかんだ。「ホームラン1本で済んで良かったです。今日は最高の誕生日ですし、両親も喜んでくれていると思います」。球団新人では84年池田親興以来37年ぶりの快挙をひょうひょうと成し遂げた。

6回まで毎回の6安打を浴びながら8回1失点。3回から解禁したカーブでDeNAに攻略の隙を与えなかった。3回2死二塁のピンチでは、佐野を114キロカーブで一ゴロ。6回先頭のオースティンは112キロカーブでファウルを奪った直後、143キロ直球を外低めに決めて見逃し三振。初の無四球で失点は牧に浴びたソロのみで踏ん張り、矢野監督も「緩急、コーナーワーク、高低。ビックリするような速さはないけど、それを速く見せるようなものは将司は持っている」とたたえた。

カーブはずっと武器だった。磨きがかかったのは国際武道大時代。「つむじにトップを持ってきて、親指をキャッチャーに向けて投げる」。同大学の岩井美樹監督(66)が、義父で元巨人監督の藤田元司氏(享年74)から聞いたカーブの極意だ。名将の教えは伊藤将にも受け継がれた。試合ではカーブで打者を抑えると褒められ、「スピードが出なくても気にするな。お前は本格派投手じゃない」と口を酸っぱく言われた。

個性を伸ばして記念の白星。昔は誕生日にグラブをくれた両親は「誕生日おめでとう。試合で勝利投手になって、いい誕生日迎えてね」と試合前に連絡をくれ、同期入団の佐藤輝から2打点の“プレゼント”もあった。「輝が打ってくれると自分の投球も楽になる。これからも輝と自分と中野とルーキーらしく頑張っていきたい」。横浜高時代にプレーした思い出が残る横浜スタジアムで、立派に成長した姿を見せた。【磯綾乃】

▼阪神伊藤将が3勝0敗。阪神の新人投手が無傷の3連勝をマークしたのは、84年に5連勝した池田親興以来37年ぶり。球団の左腕では54年の山中雅博(5連勝)栄屋悦男(4連勝)以来67年ぶりになる。84年の池田は5月11日にプロ初完投で4勝目を挙げた後、故障で一時離脱。復帰後は救援に回り1勝を加え、自身15試合目の登板となった6月29日の巨人戦で先発して初黒星を喫し、連勝がストップした。

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