「日本生命セ・パ交流戦」でトップタイの5本塁打を放つ阪神佐藤輝明内野手(22)が7日、みちのくの剛腕打ちを誓った。敵地での日本ハム、楽天戦に向けて札幌入り。週末仙台での楽天3連戦では、日米179勝の田中将とのモノノフ対決や、両リーグ最多7勝の早川とのドラフト1位対決が見込まれる。一時は内角攻めに苦しんだが「心の余裕」が出てきたと手応えも激白。宮城在住の祖父母も観戦予定の楽天戦で、交流戦キングを確定させる。

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虎の怪物が北の大地に上陸した。8日からスタートする交流戦ラストとなる札幌、仙台の敵地シリーズ。交流戦トップタイの5本塁打をマークしている佐藤輝が、残りの6戦でどれだけ積み上げることができるか。なかでも注目は田中将、早川ら剛腕が登板する11日からの楽天3連戦。注目されればされるほど力を発揮する規格外ルーキーは、力強く両腕撃破を誓った。

「そういうレベルの高い投手と対戦できる機会なので、僕はしっかり自分のスイングをすることだけを心掛けて、絶対に打ちたいと思います」

アーチを描きたい理由がある。宮城・村田町には、父方の祖父勲さんと祖母美智恵さんが住んでいる。高校まで毎年、盆と年末に帰省。「テル」と呼ばれてかわいがられた。「(コロナ禍の)今の状況ではこっち(甲子園)に来て試合を見てもらうこともできないので、おじいちゃんおばあちゃんの前で打っていい姿を見せることができるように頑張ります」。観戦予定の2人の前で本塁打を放てば、最高の祖父母孝行だ。

剛腕VS怪力。それだけではない注目点もある。佐藤輝はももクロファンを指す「モノノフ」だが、田中将こそ球界で最も有名な「モノノフ」だ。佐藤輝も敬意を表し、甲子園での登場曲に楽天田中将がヤンキース時代に使用していた「吼えろ」を採用。いよいよ「本家」との初対決が実現する。さらに同学年の早川は両リーグトップ7勝の大活躍。両リーグの新人王候補の対戦と見どころ満載だ。

極端な内角攻めなどで本塁打も一時ペースダウンしたが、6日ソフトバンク戦(甲子園)では交流戦トップタイの5号をマーク。プロの壁を破るべく、つかんだ手応えをこう表現した。「何が何でも打ちにいくというスタイルではなく、初球だったり、際どいところだったら見逃してもいいのかなという、心の余裕みたいなのを今は持っています」。札幌ドームで、さらには杜(もり)の都でも代名詞となったアーチ後のZポーズが飛び出すか。公式戦の“初タイトル”となる交流戦本塁打キングに向け、ラスト6試合にスパートをかける。【桝井聡】